土地自然のもつ潜在力を知るため、樹木活力度を指標として、多摩丘陵永山地区をケ-ススタディ地区に適用し評価した。活力度の評価関数は、地形、土壌、地質、造成深を要因変数とする線型式を仮定したところ、予測値と実測値に大きな差はなく、ほぼ満足できる成果が得られた。しかし、活力度の概念に未定な部分があり、季節、年を違えると活力度に差が生じ、また測定値にも目視による個人差、地域差が発生した。そこで、同一地域再度、活力調査を試みた結果、2回の測定値の間には相関が認められなかった。この活力度の信頼性そのものを損う点について再度検討するため、2回の測定値を比較し、より増大したもの、より減少したものにわけて、その原因の分析と、説明変数との関連性を調べた。その結果、活力度の表現項目のうち、葉色、新梢の伸長、枝葉の枯損は、当該年度の環境条件の反映であって、いわば瞬間値としての活力であり、樹形、枝葉密度、葉形は土地の潜在力を反映したものであり、過去の生長覆歴の総和としての活力であることが考えられた。この点を考慮し、活力度の評価関数の再度の見直しが必要となった。 緑の機能評価については、線を把握、認識する空間スケ-ルによって量的、質的に機能が変化することから、緑の機能を物的なスケ-ルと心理的なスケ-ルとに分けて検討した。心理的な機能は専門家による判断値を基準化して、それをFuzzy積分するという方法で緑のスケ-ルと心理機能の関連性を求めたが、相関が得られなかった。説明要因をさらに箇素化するなどの工夫が必要であると考えられた。
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