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1990 年度 実績報告書

昆虫の翅型多型の生態遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02454054
研究機関岡山大学

研究代表者

中筋 房夫  岡山大学, 農学部, 教授 (20109317)

研究分担者 佃 律子  岡山大学, 農学部, 助手 (10032989)
藤崎 憲治  岡山大学, 農学部, 助教授 (10228976)
キーワード翅型多型 / 長(有)翅型 / 短(無)翅型 / ヒメトビウンカ / カタビロアメンボ / 量的遺伝形質 / 遺伝率
研究概要

翅型多型をもつイネ害虫ヒメトビウンカ,ウンカ・ヨコバイ類の天敵カタビロアメンボ類3種ケシカタビロアメンボ,ホルバ-トカタビロアメンボ,キュウシュウカタビロアメンボを翅型に関して選抜を加えたところ,長翅型(有翅型)及び短翅型(無翅型)系統を得ることができた。これらの系統の交配実験により得られた翅型率のデ-タを1遺伝子座2対立遺伝子を仮定したモデルに当てはめたところ適合せず,閾値形質を仮定した量的遺伝モデルに良く適合した。以上より,これら昆虫の翅型はポリジ-ン支配による量的遺伝形質であると推定された。量的遺伝モデルへの当てはめによって得られたパラメ-タ値を用いて遺伝率を推定したところ,ヒメトビウンカで0.81となった。一方選抜実験デ-タを用いて推定された実現遺伝率はヒメトビウンカの短翅で0.27,長翅で0.36となった。ホルバ-トカタビロアメンボの遺伝率は長翅で0.48,短翅で0.56となった。従来ウンカ類やカタビロアメンボ類の翅型は生息密度や餌条件など環境要因によって決定されると考えられていた。しかし上記の結果は翅型決定に遺伝的機構が関与することが明らかになった。ヒメトビウンカでは閾値形質を持つポリジ-ン支配の量的遺伝形質であるが,関与する最少遺伝子座は2.07と推定され比較的少数の遺伝子座が関与していると推察された。しかし同じ遺伝子型であっても密度の違いによって翅型率が異なることから,遺伝的機構は直接翅型を決定するのではなく翅型発現にかかわる内分泌機構の密度依存的反応性を支配すると考えられた。本補助金で購入した昆虫飛翔装置一式は長(有)翅型の飛翔力の測定に,またマイクロ遠心機と超純水装置は翅型間の代謝特性の比較実験に用いられた。この他ヒメトビウンカやカンシャコバネナガカメムシの休眠性や体色と翅型間の遺伝的相互関係,イチモンジセセリの飛翔多型の生理的形質の比較等の研究を行っている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Mori,K.& F.Nakasuji: "Genetic analysis of the wing form determination of the small brown planthopper,Laodelphax striatellus (Hemiptera:Dephacidae)." Researches on Population Ecology. 32. 279-287 (1990)

  • [文献書誌] Nakasuji,F.&A.Nakano: "Flight activity and oviposition characteristics of the seasonal form of a migrant skipper,Parnara guttata guttata (Lepidoptera:Hesperiiae)." Researches on Population Ecology. 32. 227-233 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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