研究概要 |
核多角体ウイルスには多くの変異株が存在することを明らかにすると共に、各変異株のビリオン形態、大きさ、多角体の形状、増殖パターンウイルスDNA、ウイルス構成タンパク貭及び多角体タンパク貭などについて比較調査を行った。 1.継代保存している7株についてビリオンの大きさを測定した。長径×短径は350〜433×90〜140nmあり、株によって大きさが違った。 2.BmNPVのビルオンは1本のnucleo capsidを発育模が被覆するsingle capsid typeであったが、La株は2〜5本のnucleo capsidが発育膜に包まれるmulti capsidであった。 3.中腸細胞及び培養細胞からの出芽粒子はnucleo capsidが眞中から折れ曲って、宿主細胞に包まれた特徴ある形態を有していた。 4.I株発育膜のモノクローナル抗体のダイレクトネガティブ染色により、発育膜に特異抗原が存在することが判明した。 5.ポリヒドリンのモノクローナル抗体による非標識酵素抗体法により、総ての株の増殖が早期に診断できた。 6.T,Ta,C,54Nの4株のBmN培養細胞での感染増殖は、C株が最も適応し、ウイルス及び多角体が生産された。 7.T,Ta,C,54N,4株のウイルスDNAの制限酵素切断パターンを比較した。4株とも塩基配列が異なっていたが、Cと54N,TとTaとの間の塩基配列が類似していた。 8.T,Ta,C,54N,4株のウイルス構成タンパク貭を泳動分離した。54N株は他の3株にはない、4種のポリペプチドが認められた。 9.T,Ta,C,54Nの4株の多角体タンパク貭は共通のポリペプチド以外に57.6KDaのペプチドがT,Ta,C株には存在したが、T株は欠損していた。
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