研究概要 |
前年度のホロファイバ-による土壌溶液挿取実験、裁培実験に関する予備実験の結果をふまえて、本年度は4種類の土壌にトウモロコシを裁培し、経時的に作物生育量、土壌水分、土壌溶液のイオン濃度・組成を測定し、根関土壌の養水分動態を把握した。用いた土壌は沖積土、黒ボク土、赤色土、黄色土である。直径30cm、深さ50cmの塩化ビニル製ポットに土壌を芝填し、深さ10cmと30cmの位置に直径10cm,20cmのホロファイバリングを設置した。土壌水分計は深さ10cm,30cmの位置に設置した。作物の有無による違いを把握するために、無裁植区を設けた。土壌水分、温度の経済的変化はデ-タロが一に自動的に記採され、土壌信液は注射器による吸引法によって定期的に採取された。得られた結果は以下のとおりである。(1)トウモロコシの生長は、黒ギク土、し積土、黄色土の順番で優れており、これは各土壌における平均的な土壌溶液の全イオン濃度の順番と対応じていた。(2)土壌水分の絶時的観測の結果、ポットの下部は上部よりもたえず多くの水分を含んでおり、裁培期間を通じて、下から上への水の動きが卓越していることが認められた。(3)無裁植区の土壌水分と、土壌溶液イオン濃度との間には対応がみられ、土壌が乾燥するにつれてイオン濃度が上昇する傾向がみられた。(4)作物の養水分吸収によって、土壌溶液のイオン濃度は表層の内側から減少する傾向を示し、時間の経過とともに下層のイオン濃度が減少していくことが明らかとなり、微小部分での土壌ー植物根の動的関係が明らかとなった。(5)作物の養水分の吸収によりAR^K(カリの活動度比)は異時的に上昇することが明確に認められたが、土壌毎にAR^Kの値は大きく異なっており、土壌固相、液相、植物根の間でのダイナミックな養水分の移動の結果を反映していた。
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