イントロンを翻訳領域中に挿入した新しいGUSレポ-タ-遺伝子を作成し、35Sプロモ-タ-下流に繋いだ融合遺伝子をタバコやイネに導入すると、イネにおいてはイントロンを含まないGUS遺伝子に比べて数十から百倍高い活性を示したが、タバコでは殆ど差が見られなかった。イネではスプライシングを受けたmRNAだけが検出されたのに対して、タバコではスプライシングを受けていないRNAも検出されることから、効率の良いスプライシングがこのイネにおける遺伝子発現増加効果に重要であることが示唆された。mRNAの配列決定から、イネとタバコのいずれにおいても同一の部位でスプライシングが起こっていることを明らかにした。 サツマイモのミトコンドリアF_1ATPaseの核支配δサブユニット前駆体にはそのN末端に46アミノ酸よりなるプレ配列があるが、プレ配列の内N末端25アミノ酸、あるいは全プレ配列の46アミノ酸の後ろにGUSタンパク質を融合した遺伝子をタバコで発現させた場合にはいずれもミトコンドリアへの輸送は認められず、プレ配列と成熟型の一部を含む73アミノ酸の後にGUSを融合させると始めてミトコンドリアへと輸送された。73アミノ酸とGUSとの融合タンパク質の葉緑体への輸送は全く認められなかった。これらの融合タンパク質遺伝子をイネに導入し、形質転換イネ細胞でも同様の解析を行なったが、タバコの場合と同様の結果が得られ、タンパク質のミトコンドリアへの輸送シグナルに関してタバコとイネの間に違いは認められなかった。
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