研究分担者 |
徳地 直子 京都大学, 農学部, 助手 (60237071)
川口 英之 京都大学, 農学部, 助手 (40202030)
武田 博清 京都大学, 農学部, 助教授 (60109048)
福嶌 義宏 京都大学, 農学部, 助教授 (00026402)
大畠 誠一 京都大学, 農学部, 助教授 (50026639)
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研究概要 |
平成2年度:京都大学芦生演習林内の林齢の異なるスギ人工林7ヶ所と天然生落葉広葉樹林4ヶ所の計11ヶ所において2週間ごとに流出水の、また同時に降水の水質分析を行った。流出水のNO_3-N濃度は降水の数分の1以下に減少した。NH_4-N、org.-N、Total-P濃度は降水、流出水ほぼ同じであった。流出水総量は降水総量の約2/3であったから、N,Pなどの富栄養化物質の流出量は降水に比べて小さく、森林が環境浄化作用を有していることが示された。一方、Cl,SO_4,Ca,Mgイオンなどは降水より流出水濃度が高く、岩石の風化が大きく関与している。 平成3年度:前年度の実験より森林の浄化機能は明らかになったものの、森林の種類・林齢の相違と流出水の水質の関係は、本芦生演習林の計11ヶ所の集水域では崩壊林地におけるSO_4^<2->の増大を除いて明瞭でなかった。そのため、森林流出水の水質形成の過程を詳細に調査することとした。芦生演習林枕谷の斜面下部から上部にイオン交換樹脂を埋設し、1年間haあたりの土壌水の移動にともなう溶存物質量を計測した。その結果、斜面下部では斜面上部の数倍に及ぶイオン量が土壌層を通過することが明かとなった。また、滋賀県龍王山スギ人工林の斜面上部から下部へのライシメターによる土壌水の調査の結果、上部から下部に向かってNO_3-N濃度が増加し、下部における硝化作用の増進がCa,Mgの土壌水濃度の増加をもたらしていることが判明した。 平成4年度:斜面下部土壌深70cm層において数ppmに及ぶ高濃度の硝酸態窒素が認められた。この窒素の行方を追求するため、各土壌層における同位体窒素の自然存在比を調査した結果、斜面下部の滞水層で脱窒現象が生じていることが判明した。また、連続した斜面下部から上部への硝化や塩基飽和率の変化は、生物と環境要因との相互作用の結果、非連続的に発現することが判明した。
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