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1991 年度 実績報告書

暖候・寒冷地域における融雪機構の解明に関する比較水文学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02454069
研究機関京都大学

研究代表者

福嶌 義宏  京都大学, 農学部, 助教授 (00026402)

研究分担者 太田 岳史  岩手大学, 農学部, 助教授 (20152142)
中島 皇  京都大学, 農学部, 助手 (40202212)
大手 信人  京都大学, 農学部, 助手 (10233199)
鈴木 雅一  京都大学, 農学部, 助手 (10144346)
キーワード融雪 / 暖候地 / 寒冷地 / 熱収支 / 常緑針葉樹林 / 落葉針葉樹林 / バルク係数
研究概要

従来,暖候地・寒冷地における融雪・流出機構の研究は別個に発展してきたために,統一的な枠組み設定と実証的な裏付けデ-タが欠けていた。近年,ネパ-ルヒマラヤやチベット高原,東ヨ-ロッパ,シベリヤなど海外での特徴的な水循環を調査する機会が増えつつあるが,それぞれに共通する重要な事項は融雪過程の理解と定量化である。さらに,融雪過程に対する森林被覆の影響の評価が欠かせないが,これについては日本における観測の積み重ねによる実証的な調査が著しく欠けていた。当研究者らは,本科学研究費補助金を得て,暖候地の代表として京都府の芦生演習林内の無林地と常緑針葉樹林(スギ),寒冷地としての岩手県,岩手山無林地と落葉広葉樹林の比較,さらに,北海道の雨龍演習林母子里の無林地,常緑針葉樹林(トドマツ),落葉広葉樹林において集中的な熱収支観測を実施した。その結果,無林地に比較して,日射量については落葉広葉樹林で60%に,天然性のトドマツ常緑針葉樹林で40%,人工作スギから成る常緑針葉樹林では20%に低下することが判明した。しかし,純放射量については,林内におけるアルベド低下と樹冠からの長波放射量が加わることによって,落葉樹林では60〜70%に,トドマツ常緑針葉樹林で50〜60%に,スギから成る常緑針葉樹林では30%といずれも日射量に対する比率よりも増加してくる。林内風速の低下は,落葉広葉樹林で80%に,スギ林では60%に低下したが,トドマツ常緑針葉樹林では,計測地点の問題があって無林地と大差なかった。湿度・気温は林内外で大差なかったが,夜間に常緑林では保温効果が見られる。バルク係数は林外に比して,若干大きくなる傾向が認められる。結果としての融雪量は林外,落葉樹林,常緑樹林の順に少なくなるが,夜間における樹冠からの長波放射によって,林内の夜間融雪量が無視しえない場合も生じている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 白沢 あずみ,福嶌 義宏,鈴木 雅一: "暖候性山地流域における融雪流出の特性" 水文・水資源学会誌.

  • [文献書誌] 石井 琢哉,福嶌 義宏,大手 信人: "芦生と母子里における森林内外の融雪現象の熱収支観測" 京都大学農学部演習林報告. 64.

  • [文献書誌] 橋本 哲,太田 岳史,石橋 秀弘: "落葉樹林が表層融雪量に与える影響に関する熱収支的検討" 雪氷.

  • [文献書誌] Ohta T.,Hashimto T.&Ishibashi: "Energy budget analysis for the estimation of effects of a deciduous forest on snowmelt rates" Annals.of Glaciology. 18.

  • [文献書誌] 太田 岳史,橋本 哲: "落葉樹林内外における雪面上純放射量の推定と表層融雪量" 水文・水資源学会研究表会要旨集. 18-21 (1991)

  • [文献書誌] 橋本 哲,太田 岳史,福嶌 義宏,大手 信人: "樹種の違いによる林内融雪量の変化について" 日本雪氷学会全国大会講演予稿集. 156-156 (1991)

  • [文献書誌] 福嶌 義宏(分担執筆): "森林水文学" 文永堂出版, 319 (1992)

  • [文献書誌] 太田 岳史(分担執筆): "森林水文学" 文永堂出版, 319 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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