研究課題/領域番号 |
02454071
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 助教授 (60112322)
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研究分担者 |
玉井 重信 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (60026606)
橋詰 隼人 鳥取大学, 農学部, 教授 (60032075)
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キーワード | 硫酸イオン / 合成酸性雨 / エチレン / IAA / ABA |
研究概要 |
(降雨の分析):山陰地方における酸性雨の現状を知るために降雨のpH変化とイオン組成を分析した。この結果鳥取大学蒜山演習林における降雨中には海水に由来しない未知の起源を持つ硫酸イオンが含まれていることが確かめられた。一年を通じてかなりの非海水由来のSO_4^<2->が検出されたが、特に初冬及び4月ごろにやや多くなるようであった。 (硫酸溶液の葉面処理が苗木の生理・成長に及ぼす影響):pHの異なる硫酸溶液をスギ、ヒノキ、アカマツ、シラカバ、及びアメリカニレの苗木の地上部に散布し、成長に及ぼす影響を検討した。その結果、散布処理による伸長・肥大成長の減退、及びバイオマスの減少は硫酸の濃度が高くなるほど、すなわちpHが低下するほど顕著に現れるようであった。また落葉広葉樹では、散布処理によって葉の脱落が促進された。この現象は後術するエチレン生成との関連が深いようである。一方、硫酸溶液を散布し続けたスギ、ヒノキ、アカマツ、シラカバ、及びアメリカニレの苗木の葉内における成長調節物質量を分析によって求めた。その結果、pH2以下の溶液処理区のみエチレン生成が促進された。また5樹種の内4樹種において硫酸溶液の散布により葉内IAA量の顕著な低下が認められた。硫酸溶液散布はABA量に影響を及ぼさなかった。これらの実験結果から、酸性雨による樹木の衰退現象には細胞分裂や細胞の伸長・拡大に関わるオ-キシンの生成経路に生じた異常が関与している可能性が高い。これに対してABAは衰退現象には重要な役割を果たしていないようである。さらにエチレンは樹木が極めて高い濃度の汚染物質に曝されたとき、落葉やクロロフィルの分解などを引き起こすことによって衰退に関与するようである。
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