研究概要 |
崩壊斜面上の土層・風化層内における3次的構成として,ア-チ型の弯曲したブロックが構成されていることが想定される。その構成に従って側壁に圧力が伝達され,それに対応して側壁との間に抵抗が生じ,崩壊を安定化させようとしていることが考えられる。この証拠を現地調査によって求め,その機構を明確にするため,実験を行った。 〔現地調査〕崩壊地について,その形状と亀裂の分布状況,根系ブロックの状況等を調査し,次記のような知見を得た。 崩壊の頭部において,ア-チ型の土層・風化層のブロックが下方に変移し,その結果として亀裂が生じている。この形状はブロック内に圧縮を生じていることを示しており,圧縮抵抗が大きければ,崩壊に対しても抵抗していることが推定される。 滑落部分の側壁にも大小多数の亀裂が生じており,その規模と密度は根系ブロックの大小に関係している。根系が強大な個所では,数は少いが深く長い亀裂が,逆にブロックが弱小な場合には,数は多いが,短い亀裂が生じている。 ア-チ構造の存在は,大型の地すべり地においても見出され,ア-チ構成の如何が,地上り発生の軟易に連動していることが観察された。 〔実験〕模型斜面内に圧力計を配置し,圧力の大きさと,その分布状況とを測定・解析している。まず,崩落に際して側圧が生じていることが確認され,さらに,力線の分布からア-チの構成があることが,ほゞ確認された。今後,さらに細密な測定を行い,力線パタ-ンの確認と力学的裏付けを検討し,土層の材料(物性)によってそれがどのように変化するかを求める。
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