研究課題/領域番号 |
02454073
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深沢 和三 北海道大学, 農学部, 教授 (40001408)
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研究分担者 |
船田 良 北海道大学, 農学部, 助手 (20192734)
小島 康夫 北海道大学, 農学部, 助手 (90161918)
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
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キーワード | グアイアシルリグニン / シリンギルリグニン / 広葉樹 / モイレ反応 / UV吸収スペクトル / 顕微分光 / 進化 / 系統分類 |
研究概要 |
中国雲南省産広葉樹について構成要素別にリグニンの不均一性を追求した。試料は昭和63年度海外学術研究費で採集したものである。本年度の成果は次のとおりである。1.20科21属24種について実験を行なった。熱帯産は10種、温帯産は8種、亜寒帯産が6種である。2.モイレ呈色反応とUV吸収スペクトルによって各要素の細胞壁のグアイアシルリグニン(Gリグニン)とシリンギルリグニン(Sリグニン)との比を検討した。3.モイレ呈色反応ではSリグニンは赤紫色で520nmに最大吸収を持つ。一方Gリグニンは褐色で450nmから右下がりの吸収曲線を持つ。UVスペクトル法ではSリグニンは270nm、Gリグニンは280nmに最大吸収を持つ。4.無孔材Tetracentron sinensisは全ての構成要素がGリグニンで針葉樹材と同じであった。5.散孔材で温帯産のものは、道管壁がGリグニン、繊維壁がSリグニンに富む。6.熱帯産の散孔材はこのようなタイプの他、繊維壁がGリグニンに富む針葉樹型が多く見られた。7.環孔材の早材大道管壁はGリグニンに富むが、晩材小道管壁はSリグニンが多くなった。8.放射孔材では道管壁は早・晩材共Sリグニンが多くなった。9.以上の結果、GからSリグニンへの進化の過程は、道管の有無、配列の進化の過程と一致した。10.早材から晩材へSリグニンが増加する。11.熱帯産樹木は温帯産よりGリグニンが多く原始的である。12.GからSリグニンへの変化の過程及びその量比で、樹木の進化を追うことが出来ることを見出した。
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