研究概要 |
高分子キトサンを分解法によって段階的に分解して,重合度2ー9のキトサンオリゴ糖を製造することに成功した。そこで、次にキトサンの構成単位であるDーグルコサミンから、新しい機能性を持つキトサンオルゴ糖の合成を試みた。単糖誘導体からON型二糖の合成,そしてこれを繰返し単意として重合反応させてキトサンオリゴ糖を合成する方法を確立した。また、キチンとキトサンの中間的な化合物DACー50の有機合成法の基礎となる二量体の合成方法も確立した。 分解法によって製造された低分子キトサンで処理した木材の耐朽性を検討したところカワラタケに対して高分子キトサンで処理した場合により高い耐朽性を示した。この場合,酸加水分解によって調整された低分子キトサンの方が酸化分解によって調整されたものより顕著な効果を示した。 高分子キトサンで前処理した後CCA系防腐剤を注入した併用処理木材はキトサン膜に防腐剤成分を多量に吸着しており,防腐効果はCCA防腐剤のみで処理した場合により高く,優れた耐朽性能を示した。また,キトサン塗布処理した木材のキトサン膜のみをアセチル化した場合,単に塗布処理のみの場合に比べて耐光変色性および耐朽性に優れていた。キトサン処理木材の木材腐朽菌に対する抗菌機能を形態的に走査電子顕微鏡観察によって明らかにとらえることができた。 キトサンオリゴ糖を添加した水耕液によるクヌギの幼苗の生育試験を行い,幼苗の生育状態をデジタル式測定顕微鏡によって測定した。その結果,樹木の生育に対してオリゴ糖はごく微量の添加で特異的な生理活性を示すことが明らかになった。特にT/R比と弱さ度について、オリゴ糖の添加濃度の違いで顕著な差が認められた。
|