研究概要 |
1.活マボヤを用い,筋膜体を-3℃,2℃,20℃に貯蔵した。AMPが死直後において最も高含量で、次いでADPが高く,ATPは低含量であった。貯蔵中にATP,ADP,AMPは減少し,イノシン(HxR)とヒポキサンチン(Hx)が増加した。Hxは貯蔵時間とともに増加し,鮮度判定指標として有用であった。IMPとアデノシンも少量検出され,AMPは2経路を通してHxRに分解されることがわかった。K値はかなりの速度で上昇し,初期腐敗時に75%であった。 2.グリコーゲン含量には季筋変化があり,2月に2%と最も低く,その後増加し,8月に最高値(9%)に達し,次第に減少した。グルコースは死直後に22〜48mg/100gであり,貯蔵中に顕著な増加がみられた。グルコース1リン酸は検出されず,グリコーゲンはアミロリティック経路によってグルコースに分解された。グルコース6リン酸(G6P)とフラクトース6リン酸(F6P)の消長はグルコースと類似していた。G6PとF6Pの割合は3〜4:1であった。フラクトース1,6ニリン酸は当初含量が高く,貯蔵中に顕著に減少した。乳酸は貯蔵中に増加し,対応してpHは減少した。 3.遊離アミノ酸については,死直後に1783mg/100gとアミノ酸総量はかなり高く,主要な遊離アミノ酸はタウリン,プロリン,グルタミン酸,グリシンであった。これらのアミノ酸で総量の66%に達し,とくにタウリンは26%を占めた。貯蔵中にアミノ酸総量は増加し,その後減少した。4.ポリアミンは死直後にアグマチン,トリプタミン,スペルミジンが生体ポリアミンとして検出された。鮮度低下に伴い,アグマチン,トリプタミン,カダベリン,チラミンが増加した。
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