研究概要 |
本研究は農業集落排水で最も多く採用されている嫌気ろ床槽置置型接触曝気法による処理施設を対象として、とくに窒素除去を中心とした安定した処理性能を得るための合理的な運転管理方法を明らかにすることを目的として、実際に稼働中の処理施設ならびにモデル実験装置を用いて実験を行い、また数量化解析とあわせて運転管理方法について検討を加えたものである。得られた成果の概要は以下のとおりである。 1)接触曝気槽に大型後生動物が大量に発生すると生物膜を減少させ、硝化の進行を妨げ、窒素除去性能に悪影響を及ぼすので、大型後生動物の大量発生が起こらないような運転管理が重要である。 2)大型後生動物には、秋から冬にかけて大量発生するという、季節的な周期性がみられる。したがって秋季に大量発生を防止するための対策が必要である。 3)接触ろ材の定期的な逆洗浄により大型後生物動の大量発生をある程度抑制できることが確かめられたが,完全に死滅させるためには2日程度の曝気停止が必要である。 4)水温が低下する冬期には曝気槽での硝化が著しく低下するので、硝化を促進させるためには、(1)曝気槽内のDO濃度を5mg/1程度以上に保つこと、(2)嫌気槽の汚泥引き抜きを適宜行い、曝気槽へのBOD負荷を軽減すること、(3)硝化水の返送比を2程度以上に保つこと、(4)50m^2/m^3程度以上の比表面積をもつ接触ろ材を使用すること、などの留意が必要である。 5)流入汚水のない夜間の4時間程度を限度として曝気停止を行えば、処理性能を悪化させることなく、電気代の節減が可能である。
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