研究概要 |
宮崎大学実験圃場内の試験区のうち,幅1m,斜面長10m,傾斜6^°の2面によって,北九州市から搬入した高レキ質のマサ土について,自然降雨による侵食流亡土量を測定し,侵食の形態や痕跡を他土壌の場合と比較して調査した。その結果,マサ土の約1cm厚さの表層は降雨の落下エネルギや表面流によって微細土のみが流亡し,レキの部分は残って,表面侵食に耐えた形で存在するようになることがわかった.従って受食性も小さく,USLEのK(受食性因子)の値は約0.038となり,またリル,ガリ等の生成はなかった。このことを更に15cm×150cm×15cmの透明アクリル樹脂有底容器に,多レキ質マサ土(斜面長50cm)を詰めた斜面侵食実験を行い,表層土の変動状況を観察するとともに,表層上の土を採土してフルイ分析を行った。その結果,1cm下層土においては,供試原土の微細土含有量よりも幾分多い微細土含有量が存在することがわかり,表層付近のレキ質化と,その下層(約1cm下)の微細土層(soil crust層)の存在を視覚的にとらえることができた。 一方,マサ土の斜面の表面流による侵食特性を研究するため,一定間隔で一定流量ずつ流下する不等流型および不定流型表面流の性質を合わせもつような複合型表面流を発生する装置により,室内実験を行った。その結果,等流型,複合型,不等流型の順に土壌流亡量は多いが,複合型は表面流が減少すると不等流に近づき,増加すると不等流型から離れて等流型に近づく2つの流下形式の中間型の傾向を示した。さらに,複合型表面流の結果から,無次元表面流量と無次元侵食量の関係式を推定した。
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