研究概要 |
土壌侵食試験区として、幅1m,斜面長10m,傾斜度6 P1° P15面と、幅5m,斜面長22.0m,傾斜度6 P1° P11面を用いて、種々の土壌について、各種の土壌侵食実験を行った。多レキ質マサ土については、降雨の落下エネルギーや表面流によって、表層の約1cm内の微細土のみが流亡し、表面は一様に粗レキが浮き出た状態になり、その結果、流亡土量も少ないことを確認した。このことを更に模擬降雨装置による室内侵食実験によって追試し、表層下約1cm下層においては、供試原土よりも幾分多い微細土含有量が存在し、微細土層(soil crust)の存在を視覚的に捉えることができた。クロボクを供試土としたうね立てについての試験では、平うねを1とした場合、縦うね区で1.4,横うね区で0.06,斜めうね区で1.6(未確定値)が得られた。 シラスについての侵食実験では、シラスは受食性が大きく、溝状の侵食をおこしやすいこと、ネット(網目4mm又は2mm)を張ることによって、侵食土量が1/2〜1/10に減少すること、砂利を1層だけ撒布することによって1/30程度に減少することを見出した。 マサ土に対する土壌の締固めと表面流による土壌侵食機構に関する研究では、次のことが明らかになった。全ての締固め状態で、表面流の増加に伴い、掃流力が増大し、土壌侵食量は増加する。しかし侵食溝(マイクロリル)が形成され、流水が収束し、侵食溝のみに掃流力が作用するようになると、限られた幅のみで土壌侵食がおこるため、かえって土壌侵食量が減少する。侵食溝の形成条件は、表面流が比較的多い場合は、全ての乾燥密度においておこるが、表面流量が少ない場合は、1)乾燥密度が低い場合は目で確認できるほどの侵食溝の形成は見られないが、2)乾燥密度が高い場合には、全体にまんべんなく掃流力が大きく、またマイクロリルが多数、網状に形成されるようになることがわかった。
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