研究概要 |
培養植物の光合成による生長を,最小照明電力消費量で達成するための,培養植物生長促進用照明装置を試作し,その基礎デ-タを得ると共に,実用化にあたって問題となるであろうような点を検討した。 試作した照明装置は,光源を培養室の外に設置して,照射光から光合成有効放射だけを集光した後,散光性光ファイバを用いて培養室に光を導入するものである。培養植物への光照射は,上方からではなく,側方から行うことにより,培養植物の徒長を抑制し,また培養植物の下方部分にも光照射されるようにしてある。 本装置を用いて,葉付き単節を外植体とするバレイショ培養して,従来の培養法と比較したところ,本装置によって,光合成,生体重,乾物重が,従来法に比較し,増大するだけでなした。さらに高品質苗の必要条件である,草丈の短い,いわゆる,がっしりした培養苗が得られた。本装置で培養された苗の光合成,蒸散特性は,従来法による培養苗のそれらに比較して,良好であった。 本装置を用いると,培養室の冷房負荷が軽減され,培養室の空間が有効利用される。これらの点の関して予備的な検討を行った。本装置では,培養器の縦積みが可能であり,縦積みしても生長に影響がないことが実験的に確かめられたので,培養室空間の有効利用については実用性が高い。培養室の冷房負荷軽減については,実験的検討はできなかった。本装置を用いての総電力消費量,各種エネルギ変換効率についても今後の課題である。 上述の結果の他に,光照射時における光強度分布,熱収支,培養器内二酸化濃度分布などの基礎デ-タも収集し,基礎的検討も行った。その結果,本研究は基礎的および応用的成果が高いことが明らかになった。
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