研究課題/領域番号 |
02454090
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 康之 東北大学, 農学部, 教授 (90005637)
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研究分担者 |
小田 伸一 東北大学, 農学部, 助手 (60211827)
庄司 芳男 東北大学, 農学部, 助手 (60005642)
加藤 和雄 東北大学, 農学部, 助教授 (60091831)
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キーワード | ヤギ / 泌乳 / アミノ酸 / 成長ホルモン / インスリン様成長因子-I / インスリン / グルカゴン |
研究概要 |
近年成長ホルモン(GH)投与が反芻動物の泌乳量増加に劇的な効果をもたらすなど、代謝調節に関与する各種ペプチドホルモンと生産性のかかわりが注目されている。GHの増乳効果は異化作用によって動員された基質が産乳に利用されるものと考えられるが、グルカゴンなども同様の作用を持ち、これらのホルモンはアミノ酸による分泌調節を受ける。本研究では、泌乳反芻動物の腸管内にアミノ酸を連続投与し代謝調節ペプチドホルモン分泌を観察する前段階の実験として、静脈内へ2種類のアミノ酸を連続注入して泌乳量や血漿ペプチドホルモン濃度に及ぼす効果について検討した。 ホルモン処理による誘起泌乳ヤギ3頭を供試した。アミノ酸(L-アラニン、L-アスパラギン酸)を、頚静脈内に7.2mmol/kg/dayで6日間連続注入し、6日目に以下の9項目の測定を行なった。a)血漿α-アミノ態N濃度、b)血漿グルコース濃度、c)血漿FFA濃度、d)血漿GH濃度、e)血漿インスリン濃度、f)血漿グルカゴン濃度、g)血漿IGF-I濃度、h)乳量、i)乳成分。 泌乳量は、平均620g/dayであり、アミノ酸注入は有意な変化を起こさなかった。また、乳成分(乳脂肪率,乳タンパク率,乳糖率および無脂固形率)にも変化は認められなかった。血漿α-アミノ態N濃度および血漿グルコース濃度は、Asp投与区で有意に増加していたが、血漿FFA濃度には変化が認められなかった。血漿GH濃度は、Ala投与区で有意に増加していた。血漿インスリン濃度および血漿グルカゴン濃度は、両アミノ酸投与区で有意に増加していた。 以上の結果から、血漿GH濃度は、インスリンやグルカゴンと同様に、Ala投与区で有意に増加していたが、泌乳量や乳成分には有意な変化は認められなかった。Aspは、ヒツジの静脈内投与実験結果では最もGH分泌刺激効果の強いアミノ酸であったが、今回の頚部静脈内への連続注入では、有意な増加を起こすことができなかった。この理由は不明であるが、投与量や方法などを今後更に検討しなければならないと言える。
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