ニワトリとウズラの行動と生体機能の日周リズム形成に関する松果体と眼の関与

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02454092
• 研究機関: 岐阜大学
• 研究代表者: 田名部 雄一 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021679)
• 研究分担者: 土井 守 岐阜大学, 農学部, 助手 (60180212) ; 中村 孝雄 岐阜大学, 農学部, 教授 (60021698)
• キーワード: ニワトリ / メラトニン / 松果体 / 眼球 / 日周リズム / コルチコステロン / アルギニンバソトシン / 光周期逆転

研究概要

孵化後0日齢の雄ヒナを用いて手術を施し、松果体除去区、眼球除去区ならびに無処理区を設け、1、7、16日齢における明期(12:00)と暗期(24:00)の血漿、松果体および眼球メラトニン含量を調べた。1日齢では各区の松果体と眼球のメラトニン含量はほぼ同様な値であり、松果体除去区、眼球除去区の暗期の血漿メラトニン濃度はともに無処理区の約1/2であった。7日齢では無処理区、松果体除去区の眼球メラトニン含量が急激に上昇したが、暗期の血漿メラトニン濃度は無処理区と比較して、松果体除去区では約4/5、眼球除去区では2/3であった。16日齢においては無処理区、眼球除去区の松果体メラトニン含量は上昇を示し、暗期の血漿メラトニン濃度もほぼ同レベルであった。しかし、松果体除去区では眼球メラトニン含量が無処理区と同レベルであるにもかかわらず、血漿メラトニン濃度は減少を示した。これらのことより、ニワトリでは、孵化直後は血中メラトニンリズムに対して、松果体と眼球は同程度関与しているが、1日齢から16日齢にかけて、眼球からの分泌は減少し、主に松果体のみが関与するようになることが推察された。
次に12L:12Dの光周期条件下において、8週齢と26週齢の雌ニワトリの血漿コルチコステロン濃度を経時的に測定した。また28週齢の産卵鶏では光周期を逆転し、逆転前と逆転後2日目および7日目におけるコルチコステロンとアルギニンバソトシン(AVT)の血中濃度を経時的に調べた。その結果、血漿コルチコステロン濃度はいずれの日齢においても暗期にピ-クをもつ日周リズムを示した。光周期を逆転すると、2日目には新しい光周期への適応がみられ、明暗周期を同調因子としていることが推察された。血漿AVT濃度は、逆転前では暗期に高い値を示す日周リズムがみられたが、逆転後、リズムは不明瞭となり、明暗周期が直接の同調因子ではないと考えられた。

研究成果

• [文献書誌] Nakamura,T.,M.Funabashi,and Y.Tanabe: "In vitro studies on steroidogenesis in the presence of pregnenolone as precursors by the folliculor tissue of the domestic fol (Gallus domesticus)" J.Steroid Biochem.(1991)
• [文献書誌] 黒田 眞希・山田 有美子・中村 孝雄・田名部 雄一: "性ステロイドホルモンおよび抗エストロジェン剤の投与が発生初期のニワトリ生殖腺の発達に及ぼす影響" 東海畜産学会報. (1991)
• [文献書誌] Marutani,T.,H.Asai,T.Nakamura and Y.Tanabe: "Effect of a reversal of photperiod on the daily rhythm of plasma corticosterone and arginine vasotocin in the immature and mature female chicken(Gallus domesticus)" Proceedings of Japan Society of or Comparative Endooinology. 5. (1991)
• [文献書誌] Nakamura,T.,H.Watanabe,K.Fujigaki,and Y.Tanabe: "Ontogenetic aspect of steroidogenesis by gonads of ducks and its role on sex differentiation." Proc.5th AAAP Animal Science Congress(Taipei). 3. 284 (1990)
• [文献書誌] Tanabe,Y.,D.J.S.Hetzel,M.Kasai,T.K.Nakano,M.Mizutani and B Gunawon: "Phylogenetic relationships of Asian duck breeds determined by blood protein polymocphisms." Proc.5th AAAP Animal Science Congress(Taipei). 3. 304 (1990)
• [文献書誌] Nakamura,T.,T.Nagata,Y.Tanabe,N.Yanaihara^^´ and Y.Hasegawa: "Comparison of in vitro biological actioities of luleinizing hormone releasing hormone (LHRH) cmalognes in 60ーdayーold cockerels." Gen.Comp.Endocrinl.(1991)
• [文献書誌] Tanabe,Y.: "Izozymes:Structure,Function and Usein Biology and Medicine" WileyーLiss,Inc.,NY., 19 (1990)
• [文献書誌] Tanabe,Y.: "Breeding Research:The Key to the Survival of the Earth.Proc.6th Int.Cony.of SABRAO (Tsukuba)" Organizing Committee,6th Interm.Congress of SABRAO, 6 (1989)