研究概要 |
1.Chlamydia psittaciの生物学的性状、特に宿主特異性と抗原性および遺伝学的性状との関連性を高度免疫血清および単クローン性抗体を用いて解析した。その結果、C.psittaciは主要外膜タンパク質の抗原性から少なくとも6型に型別されること、また、主要外膜タンパク質を認識する単クローン性抗体によりさらに亜型の存在が示された。 2.各免疫型の遺伝学的背景および関連性をDNA制限酵素切断像の比較から解析した。その結果、C.psittaciは免疫型と関連した少なくとも5グループから構成されていること、また、免疫学的には共通抗原が複数存在するが各グループは遺伝学的に隔たっていることが解った。さらに、各グループは自然宿主を同じくする株から構成されていた。 3.C.psittaciの各グループ内のDNAホモロジーは70%以上であったが、AvlおよびAv2間では約60%,Fel,Gpl,およびRulは他のグループに対し30%以下のホモロジーを示した。特に、Rulは他のグループに対し20%以下のホモロジーを示した。このように、C.psittaciは遺伝学的に大きく異なるいくつかのグループから構成され、これらのグループと宿主域は密接に関連していることが示された。一方、Rulは他のグループとのホモロジーが極めて低く、別種Chlamydia pecorumと考えるべきであることを明らかにした。 4.これら遺伝学的グループの指標を探るため、Chlamydia属内で高いホモロジーを示す染色体DNA注域に領目し解析した。この領域はrRNA遺伝子をコードしていることが解った。また、遺伝学的グループと完全に一致していた。さらに、rRNA遺伝子の隣接領域の塩基配列は各グループで特異的であることが明らかにした。
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