研究概要 |
無菌マウス並びに嫌気性連続流動培養装置(ACF)を用いてニワトリ腸内菌叢を構成させ,ニワトリ腸内菌叢と<Campylobacter>___ー <jejuni>___ーの定着を研究するためのin vivo,in vitroの実験系の確立を試みた。生後2週齢のヒナの盲腸内容物をそれぞれに投与し、フロ-ラ構成の推移を検討したところ,無菌マウスでは投与1ー2週目までに大きな変動があり以後安定した。すなわち,Lactobacillusが消失しClastridiumの菌数が高くなり優勢菌種の変動がみられた。また,投与フロ-ラに比べて嫌気性菌の好気性菌に対する割合が高くなった。ACFでは大腸菌数の減少とLactobacillusの消失がみられたが,好気性菌と嫌気性菌のバランスと総菌数では無菌マウスよりも投与ニワトリフロ-ラに近いものであった。しかし,無菌マウス同様に優勢嫌気性菌の菌種の変動がみられた。 これらのexー無菌マウスとACFにニワトリ盲腸内より分離した<C.jejuni>___ーを投与したところ,ACFでは投与3日後にすでに投与菌は排除されてしまったが,exー無菌マウスでは投与翌日で糞便1g当たり10^7コ,3ー14日後で10^8コの菌数を維持した。また,投与14日後に消化管各部位の壁と内容物での<C.jejuni>___ーの菌数を比較したところ,盲腸部位での菌数が最も高く10^8/gを示し,胃と小腸上部で10^3〜10^5/g,小腸下部で10^6/gであった。盲腸では内容物と壁で同様の菌数であったが,胃では内容物中からは投与菌が検出されず,壁のみからCampylobacterが検出された。 以上の結果から,ニワトリフロ-ラマウスは<C.jejuni>___ーの感染定着並びにフロ-ラによる拮抗作用の研究モデルとして有用であることが明らかとなった。ACFでは2ステ-ジのものを用い,培地成分を改良することでよりニワトリフロ-ラに近いものを作出できると考えられる。 さらに,ニワトリを用いたプロバイオテックスによる<C.jejuni>___ーの感染阻止を検討している。
|