研究課題/領域番号 |
02454107
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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研究分担者 |
小野 憲一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (50111480)
鈴木 直義 東京大学, 農学部, 教授 (10003071)
亘 敏広 東京大学, 農学部, 助手 (50220950)
後飯塚 僚 東京大学, 農学部, 助手 (60205581)
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キーワード | サイトカイン / 腫瘍関連抗原 / B細胞 / レセプタ- / レトロウイルス |
研究概要 |
流行性ウシ白血病のウシの末梢血より樹立したリンパ芽球様B細胞株であるBL2M3およびBL312細胞の培養上清中の各々の細胞の増殖に影響を与える因子の存在を検討した。その結果、BL2M3およびBL312細胞のいずれの培養上清中にもBL2M3およびBL312細胞の増殖促進効果が認められた。BL2M3およびBL312細胞はいずれも5×10^5/ml以下の細胞密度では添加した培養上清の濃度に依存した細胞増殖の促進効果が認められたが、1×10^6/ml以上の高密度の条件では培養上清の添加によっても細胞増殖の促進は観察されなかった。これら培養上清中に含まれるBL2M3細胞増殖促進因子(BL2M3ーGPF)活性はpH10のアルカリ処理で失活する傾向がみられ、pH2の酸処理では完全に失活し、また60℃、30分の熱処理でも失活した。次にBL2M3およびBL312細胞の培養上清中のインタ-ロイキン活性を測定した結果、いずれの活性も検出されず、さらにヒトのいずれのリコンビナントサイトカインの添加によってもBL2M3細胞の増殖は促進されなかった。そこで、これらB細胞株におけるBL2M3ーGPFによるリンパ腫細胞の増殖促進における腫瘍関連抗原(TAA)の役割について、TAAを認識するモノクロ-ナル抗体であるc143抗体を用いて検討した。その結果、BL2M3およびBL312細胞のほとんどすべてにTAAの発現が検出され、またコントロ-ルとして用いたT細胞株であるBTLG9細胞でも約70%にTAAの発現が認められた。BL2M3ーGPFによるB細胞株の増殖の促進は、c143抗体の添加によってc143の濃度に依存して抑制されたが、T細胞株であるBTLG9細胞の増殖は、この細胞がTAAを発現しているにもかかわらず、全く抑制を受けなかった。これらの結果から、少なくともBL2M3ーGPFに反応して増殖の増強が認められる細胞では、TAAが細胞増殖に何等かの関係があることが明らかになった。
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