研究概要 |
ニワトリ胚の心筋および骨格筋の培養細胞を用い,筋原線維形成過程における筋巨大蛋白質(コネクチンとネブリン)の発生を蛍光顕微鏡で観察した。筋原線維形成前の段階では,初めにIーZーIを構成する蛋白質(αーアクチニン,アクチン,トロポニンI)が出現し,次にネブリン,最後にコネクチンとミオシンが現れた。次にIーZーI蛋白質に対する抗体で染まる横紋をもたない線維(NSFs)が出現した。NSFsは次第に抗ネブリンで染まるようになり,その後,抗コネクチンおよび抗ミオシンとも反応するようになった。これらのことから,ネブリンとコネクチンは初期のIーZーIの形成には必要ないと考えられた。ネブリンの周期的な配列(シングレット)は時間的・位置的にαーアクチニン(Z線)と全く一致して現れ,コネクチンの周期性の出現(ダブレット)はミオシン(A帯)と同調していた。一方,アクチンの周期的配列の出現はこれらより明らかに遅れた。これらのことから,ネブリンはIーZーIに組込まれた後にαーアクチニンと密接に関係して発生することが考えられ,またコネクチンはミオシンと共に発生し,ミオシンとZ線との結合に何らかの役割を果しているのではないかと考えられた。ネブリンの縞は初めZ線と一致した1本線(シングレット)に見えたが,発生が進むにつれて次第に太くなり,アクチンの周期性が現れた後にZ線の両側に並ぶ2本線(ダブレット)となった。このように,ネブリンの発生は他の筋蛋白質よりも遅いので,ネブリンは筋原線維の骨組みを作らないと考えられた。
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