研究課題/領域番号 |
02454116
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
|
研究分担者 |
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
高井 章 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50126869)
|
キーワード | 細胞内pH / 平滑筋 / カルシウムイオン / 膜電流 / パッチクランプ / NaーH交換 |
研究概要 |
細胞内pHと機械的反応:モルモットの血管平滑筋(下大静脈、門脈、大動脈)における細胞内pHと張力発生との関係について調べた。細胞内pHは塩化アンモニウム(NH_4Cl)及び酪酸を与えて変化させ、その程度はdimethylcarboxyfluorescein(Me_2CF)の吸収スペクトルの変化から推定した。NH_4Clは投与中に細胞内をアルカリに、除去直後に酸性にし、酪酸は投与中に酸性化、除去後に弱いアルカリ化を起こす。NH_4Clを与えると緩やかな収縮が発生し、洗い流すと再び一過性の収縮が見られる。NH_4Cl投与時の収縮はα受容体遮断剤であるphenoxybenzamineで抑えられるが、除去後の収縮と酪酸による収縮は著明な影響を受けないので、前者には神経から遊離されるnoradrenalineが関与していることが考えられる。外液のK濃度を増して起こした拘縮の途中でNH_4Clを与えると弛緩が、除くと拘縮の増大がみられる。また、NH_4Cl除去後の収縮や酪酸による収縮は外液のCa濃度への依存度が弱く、verapamilなどのCaチャネル遮断剤に対して抵抗性をもち、外液のNaを除くと著しく増強する。細胞内Ca濃度は機械的反応と相関した増減がみられる。このような結果から、細胞内Caはアルカリ化で減少し、酸性化で増加するが、NH_4Clは神経から伝達物質を放出させて収縮を起こすと推測される。また、酸性化からの回復にはNaーH交換過程の関与があると考えられる。 膜電流に対する細胞内pHの影響:この実験では主に家兎の門脈平滑筋細胞を用い、いわゆるwholeーcell clamp法による膜電流の測定をおこなった。多くの細胞でNH_4Clは内向きCa電流を増加させ、verapamilによる抑制と拮抗する作用を示す。Ca依存性の外向きK電流は細胞内アルカリ化で減少、酸性化で増加するが、これは細胞内Ca濃度の変化を反映するものと考えられる。
|