研究課題/領域番号 |
02454122
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久野 宗 京都大学, 医学部, 教授 (50142295)
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研究分担者 |
辻本 哲宏 京都大学, 医学部, 学術振興特別研究員 (40212055)
八尾 寛 京都大学, 医学部, 助手 (00144353)
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キーワード | 運動神経細胞 / ホルモン / 細胞死 / 栄養因子 |
研究概要 |
ラットの会陰部を支配する運動神経細胞(SNBニュ-ロン)の数と大きさには雌雄差が見られる。成熟雄ラットのSNBニュ-ロンは去勢により萎縮し、テストステロン投与により増大する。このニュ-ロンはヒトのオヌフ核細胞に相当すると考えられている。オヌフ核細胞は運動ニュ-ロンであるが、筋萎縮性側索硬化症において死滅から免れ、自律神経変性疾患において死滅する。したがっって、オヌフ核、SNBニュ-ロンは骨格筋支配の運動ニュ-ロンと異なり、自律神経細胞に類似した性質を持つと仮定されている。また、雌ラットのSNBニュ-ロンは生後10日以内にその大多数が死滅する。本研究は、生後3〜6日の雌雄ラットのSNBニュ-ロンと骨格筋支配の運動ニュ-ロンの膜電流をバッチクランプ法により記録し、その特徴を比較すると共に、死滅する雌SNBニュ-ロンの特異性を検討することを目的とした。新生ラットのSNBニュ-ロン及び下肢筋支配運動ニュ-ロンは実験前日に末梢神経にロ-ダミン蛍光色素を適用し、その逆行性輸送により同定した。腰髄のスライス標本を作製し、これらの個々の細胞膜にパッチ電極を密着させ、その部位の細胞膜を破壊して細胞内電位及び全細胞電流を記録した。SNBニュ-ロンは骨格筋支配の運動ニュ-ロンと比較して、活動電位の期間が長く、A電流が小さかったが、骨格筋支配運動ニュ-ロンに認められた電流のすべてはSNBニュ-ロンに存在し、両者に質的な電気生理学的性質の相違は見られなかった。また、自律神経細胞に存在するカルシュウム依存性活動電位はSNBニュ-ロンに存在しなかった。したがって、SNBニュ-ロンが骨格筋支配運動ニュ-ロンと異なったタイプの神経細胞である証明は得られなかった。また、雌SNBニュ-ロンは雄SNBニュ-ロンと比較してカルシュウム電流が大きく、この過剰なカルシュウムの流入が細胞死に関連するする可能性が示唆された。
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