研究課題/領域番号 |
02454124
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
金子 章道 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
倉橋 隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (90225251)
金田 誠 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (30214480)
大塚 輝彌 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10051814)
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キーワード | 網膜 / 視神経 / 神経節細胞 / イオン電流 / ナトリウム電流 / X細胞 / W細胞 / ネコ |
研究概要 |
網膜は光受容器であるとともに、視細胞が捕らえた視覚情報から像の形、色、動きなどの情報を抽出する神経組織である。これらの視覚情報は網膜神経節細胞で活動電位の発射パタ-ンに符号化される。視神経の応答の研究にはネコなど大型の哺乳動物が用いられ、多くの知見が蓄積している。しかし、その光応答を形成する網膜内神経回路についての多くは下等冷血動物を標本として研究が行われてきた。すべての脊椎動物の網膜は共通しているのか、下等冷血動物網膜が本当にヒトの網膜のモデルとなり得るのかという疑問は常に付きまとっている。そこで、本研究では冷血動物の網膜細胞に適用して成功を収めてきた研究方法をさらに発展させて、ネコなど哺乳類網膜細胞のイオン電流の解析、伝達物質の同定、伝達物質の作用機序の解明を行うことを目的とした。神経節細胞はアマクリン細胞と形態が酷似しており、単離してしまうと形態だけでは同定が難しい。そのため、外側膝状体あるいは上丘へ注入した蛍光色素で神経節細胞を逆行性に標識し、単離後の同定を可能にした。また、細胞の投射先と細胞体の大きさから単離神経節細胞のサブタイプ(X,W型)も同定することが出来た。神経節細胞には全てのサブタイプにおいて、脱分極によって活性化されるナトリウム電流、カルシウム電流、3種類のカリウム電流と、過分極側で活性化されるh電流の6種類の電流が認められた。このうちナトリウム電流の不活性化からの回復過程はサブタイプによって異なっており、小型のW細胞では回復が遅く、中型のX細胞では速かった。X細胞は光刺激に対し高頻度のスパイク発射を示すのに対し、W細胞では低頻度であることが知られている。われわれの観察したナトリウム電流の回復過程の違いは、神経節細胞のサブタイプによって異なる情報符号化の仕組みに関与している可能性が考えられる。
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