研究課題/領域番号 |
02454124
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 慶応義塾大学 (1991) 岡崎国立共同研究機構 (1990) |
研究代表者 |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
高橋 恭一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70138121)
渡辺 修一 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60138120)
河村 悟 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80138122)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 神経節細胞 / ナトリウム電流 / アセチルコリン / 双極細胞 / カルシウム電流 / 網膜 / ネコ / cat |
研究概要 |
網膜は光受容器であるとともに、視細胞が捕らえた視覚情報から像の形、色、動きなどの情報を抽出する神経組織である。これらの視覚情報は網膜神経節細胞で活動電位の発射パタ-ンに符号化される。視神経の応答の研究にはネコなど大型の哺乳動物が用いられ、多くの知見が蓄積している。しかし、その光応答を形成する網膜内神経回路についての多くは下等冷血動物を標本として研究が行われてきた。すベての脊椎動物の網膜は共通しているのか、下等冷血動物網膜が本当にヒトの網膜のモデルとなり得るのかという疑問は常に付きまとっている。そこで、本研究では冷血動物の網膜細胞に適用して成功を収めてきた研究方法をさらに発展させて、ネコなど哺乳類網膜細胞のイオン電流の解析、伝達物質の同定、伝達物質の作用機序の解明を行った。その結果、(1)哺乳類網膜細胞の単離法を確立した、(2)逆行性にラベルして単離神経節細胞を同定した、(3)単離神経節細胞、水平細胞、双極細胞のイオン電流を解析した、(4)神経節細胞ではナトリウム電流の不活性化からの回復過程はサブタイプによって異なっており、小型のW細胞では回復が遅く、中型のX細胞では速かった、(5)神経節細胞はアセチルコリンに対して応答したが、その応答は極めて早い脱感作を示した。一方、グルタミン酸に対する応答は脱感作を示さなかった、(6)哺乳類の水平細胞もナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、内向き整流性のカリウムチャネル、一過性及び持続性の外向きカリウムチャネルの5種類のイオンチャネルを持っており、これまで知られているキンギョなどのイオンチャネルと質的には同一であることが明らかになった。(7)90%の双極細胞はグルタミン酸に対し外向き電流応答を発生した。10%以下の少数の双極細胞には膜コンダクタンスの増加を伴う内向き電流応答が発生した。それぞれON型光応答、OFF型光応答のシナプス機構であると考えられる。
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