基本飼料の澱粉を難消化性オリゴ糖であるフラクトオリゴ糖、マルチト-ルあるいはラクチト-ルで5%または10%になるように置換した飼料あるいはそれらを1日1〜2g基本飼料に上乗せして、幼若ラット(約100g)を8週間ペア-フィ-ディングさせ、その時の飼料効率を求めると共に、屠殺時に解剖し、各臓器への影響を観察した。その結果からはそれぞれの難消化性糖類の相対的利用効率は推定できたが、明確な有効エネルギ-を推算するには至らなかった。 ^<14>Cーマルチト-ル、 ^<14>Cーフラクトオリゴ糖、 ^<14>Cー蔗糖を通常ラットへ経口投与または盲腸内投与して、呼気への ^<14>CO_2排泄率、 ^<14>C化合物の尿中並びに糞中排泄率を24時間にわたって経時的に観察した。また、屠殺時に ^<14>Cの肝臓、小腸粘膜、脂肪組織並びに血液への取り込み量、胃、小腸、大腸内残存量を測定した。その結果、同じ消化吸収されない糖類であってもネオシュガ-のようなオリゴ糖とマルチト-ルのような糖アルコ-ルとでは消化管内の移行速度に差異があり、腸内細菌を介した炭酸ガスへの代謝に時間的づれの生じること、大腸における発酵性に差異のないことなどが明らかになった。さらに、 ^<14>Cーマルチト-ル、 ^<14>Cーネオシュガ-を、抗生物質処理ラット並びに無菌ラットへ経口投与または盲腸内投与して呼気への ^<14>CO_2排泄率、 ^<14>Cの尿中並びに糞中排泄率などを同様に観察した。抗生物質処理ラットあるいは無菌ラットの盲腸内に ^<14>Cーマルチト-ルを直接投与した場合にはかなりの ^<14>CO_2量が産生されたが、ネオシュガ-の場合はほとんど産生しなかった。これらの事実は、ネオシュガ-は腸内細菌によって容易に発酵を受けるが、マルチト-ルは盲腸内で水解されるか、盲腸に残存する他の微生物によって利用されることを示唆している。これらの結果は当初期待したものとは著しく異なっている。これらについてはさらに検討する予定である。
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