研究課題/領域番号 |
02454128
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
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研究分担者 |
平下 政美 金沢経済大学, 経済学部, 助教授 (30102007)
田辺 実 金沢大学, 医学部, 助手 (20217110)
櫻田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 助手 (00215691)
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キーワード | 高体温 / 温浴 / 運動 / 選択的脳冷却 / 導出静脈 / 発汗 / 姿勢変換 |
研究概要 |
全身加温時あるいは運動時のヒトで、(1)顔面・頭皮の血管反応と血流動態、(2)導出静脈血流の方向逆転(皮膚から頭蓋内へ)の機序、(3)当該静脈血流の方向逆転と発汗など蒸発性熱放散増加との相関、(4)脳温の指標としての鼓膜温、パフォ-マンスとの相関などを追求し、以下の結果を得た。(1)体加温で食道温(Tes)、鼓膜温(Tty)が一定の率で上昇している最中に、機能的に導出静脈と考えうる眼静脈経由で顔面から頭蓋底へ流入する血流を両側で阻害すると、Tesの上昇率は変わらずにTtyのそれのみが更に増加し、鼻翼のレベルで両側顔面静脈を機械的に圧迫すると、眼静脈経由で頭蓋内に入る静脈血流の速度が著しく増加し,Ttyの上昇率のみが減少した。このことから、暑熱負荷時に、発汗などで冷却された導出静脈血の頭蓋内への流入増加が選択的脳冷却を促進すると推測できた。(2)温浴時と同様に、運動により体温を上げていくと眼静脈の血流の方向が、ある時点で急に顔面から頭蓋内に流れる方向へと変化した。この時点のTtyは、加温、運動いづれの温熱負荷でも同じであった。その時点の平均皮膚温には著しい差があること、顔面皮膚血流の増加に著しく遅れることなどからおそらくそれは中枢神経の関与する調節された反応であるとの印象を得た。(3)高体温時に眼静脈経由で頭蓋底に至る血流の速度は姿勢変換(座位→仰臥位)でも不変であったが、選択的脳冷却の効率は仰臥位で悪かった。仰臥位では同一のTesでも顔面皮膚温が高く、静脈血が冷却され難くなることなどが原因と考えられる。これらについては傾斜台を用いた別の実験で検討を加え、背部皮膚圧迫による反射性の発汗抑制のほか血管系圧受容反射にもとづく血流変化も関与するとの結論を得た。
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