研究分担者 |
鈴木 秀典 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30221328)
村越 隆之 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60190906)
吉岡 耕一 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (00143579)
柳澤 光彦 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (90159252)
斎藤 公司 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20002082)
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研究概要 |
当研究室で開発された摘出脊髄標本を用いて電気生理学的手法と生化学的手法を組み合わせて,脊髄における痛覚の伝達やその抑制機構に関与すると思われる内因性活性物質の機能を解明し,また未知の内因性活性物質を探索した。 1)摘出脊髄標本において,胸髄部で下降性線維を条件刺激すると単シナプス反射が抑制された。この抑制にはセロトニン作動性神経が関与していること,これに関わる受容体は5-HT_1受容体,あるいは5-HT_2受容体であるとは単純に分類され得ないことが明らかにされた。 2)脊髄反射に対するアデノシンの効果を調ベた。新生ラット摘出脊髄標本の前根から記録された単シナプス反射電位に対し,アデノシンおよびそのアゴニストは,DCレベルには影響を与えずに抑制した。アゴニストの効力値の順位から,この抑制に関与する受容体は,A_1受容体と考えられた。 3)脊髄一皮神経標本を用いて,末梢の痛覚刺激により脊髄で放出されたタキキニンがコリン作動性ニューロンを刺激し,放出されたアセチルコリンが痛覚伝達に対して抑制性および促進性の2種類の修飾作用を持っていることを示した。 4)中枢神経系におけるタキキニンの不活性化機構を検討するために,摘出脊髄標本を用いてタキキニンが関与すると考えられる神経応答に対するペプチダーゼ阻害薬の効果を調ベた結果,脊髄においてペプチダーゼによる酵素的分解が内在性タキキニン不活性化機構の少なくとも一部を担っていることが示唆された。 5)ベンゾヂアゼピン様の作用を持つ物質が本来生体内に存在し,機能しているか否かを解明する目的で,ベンゾヂアゼピン拮抗薬を用いてGABAが内因性に作用を持つ反応への効果を検討した。その結果,フルマゼニル2μMが新生ラット摘出脊髄においてC線維の刺激で起こる反射を増強させることが観察されたが,効果は比較的小さかった。
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