研究概要 |
Visininは、網膜錐体細胞に特異的な24kDaの蛋白質として、1985年に我々が見いだしたものである。前年度は、visinin cDNAのクロ-ングについて報告した。今回は、visininの機能の検索と,visinin遺伝子上流のクロ-ニングを試みた。 1、Guanylate cyclase(GC)活性への影響 1)visinin抗体:Visininの機能を調べるために、カエルの網膜から桿体細胞外節を調整し、そのGC活性を測定した。GC活性は、Yamasa社のcGMPアッセイキットを用いた。GC活性はvisinin抗体添加によりにより抑制されなかった。 2)Visinin蛋白質:大腸菌にvisininを発現させ、これを部分精製し、GC活性への影響を調べたが、活性に変化は見られなかった。 3)Visininとホモロジ-のあるカルシウム結合蛋白質として、ウシ網膜桿体細胞に存在するRecoverin(A.M.Dizhook et al.Science 251,915ー918,1991.)が報告された。Recoverinは、カルシウム非存在下でGC活性を抑制し、カルシウム存在下でGC活性を抑制する。 4)Visininは、錐体細胞に存在するので、recoverinとは少し作用機作が異なるのかも知れない。 2、Visinin遺伝子の上流の解析:ニワトリゲノムライブラリ-よりvisinin cDNAを用いて、上流遺伝子のクロ-ニングを行っている(進行中)。 3、松果体のvisininは、ふ卵後、光照射により誘導(4ー8倍)される。これはニワトリの眼球摘出でも誘導されるので、visininの誘導は網膜を介すさず、頭蓋からの松果体への直接の作用と考えられた。
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