研究課題/領域番号 |
02454139
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
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研究分担者 |
山川 孝 熊本大学, 医学部, 助手 (10230327)
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 講師 (90136721)
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キーワード | 培養細胞 / CaMキナ-ゼII / グルタミン酸受容体 / ブラジキニン受容体 / 自己燐酸化反応 / 細胞内Ca^<2+>ホメオスタシス / 酵素活性化反応 / 基質蛋白質燐酸化反応 |
研究概要 |
神経伝達物質、ホルモン、活性ペプチド、オ-タコイド、細胞増殖因子などの生体内活性因子の重要な作用として細胞内カルシウムイオン(Ca^<2+>)の上昇を介して、種々の生理的、病態生理的反応に関与していると考えられている。上昇したCa^<2+>の作用機構についてはまだ議論が重ねられているが、Ca^<2+>結合蛋白質を介し作用していると示唆されている。Ca^<2+>/カルモデュリン依存性プロテインキナ-ゼII(CaMキナ-ゼII)はCa^<2+>結合蛋白質であるカルモデュリン(CaM)により活性化され、多様な基質特異性を示し、生体内で種々の反応に関与している。本研究では、細胞系を用い、細胞刺激に反応してCaMキナ-ゼIIが活性化されるかどうかを検索した。ラット脳海馬を生後7〜8日で採取し、トリプシン処理後培養した。初代培養神経細胞にグルタミン酸を作用させると、CaMキナ-ゼIIの活性化が観察された。この反応は、細胞外Mg^<2+>の除去、グリシンの投与により増強されること、NMDA受容体拮抗薬によって阻害されたことから、NMDA受容体刺激によって酵素の活性化がおこっていると結論された。他に、カイニン酸/AMPA受容体刺激によっても酵素を活性化し、向代謝性キスカル酸受容体刺激によってはおこらなかった。CaMキナ-ゼII活性化にともなって、基質であるMAP2、シナプシンIの燐酸化反応の増加が認められた。また、NG108ー15細胞では、プラジキニン投与に反応して、CaMキナ-ゼIIの活性化が認められた。本細胞系では、ブラジキニンが、刺激後30秒以内に細胞内貯蔵部位からのCa^<2+>放出をおこし、ついで数分にわたる持続した細胞外からのCa^<2+>流入のおこすことが知られている。酵素の活性化は細胞内Ca^<2+>濃度上昇パタ-ンに一致していた。両細胞系でCaMキナ-ゼIIの自己燐酸化反応が認められた。以上のことから、細胞系で、種々の細胞刺激因子に反応してCaMキナ-ゼIIが活性化され、細胞機能に関与することが示された。
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