ミトコンドリア脂肪酸βー酸化系主経路に関与する全酵素について、その酵素学的詳細は明らかにされたと考えられてきた。最近、我々はラット肝臓ミトコンドリアの脂肪酸酸化系諸酵素の可溶化について検討していたところ界面活性剤存在下で可溶化される画分に従来知られていた諸酵素とは異なる新しい酵素が存在することを認めた。そこで、凍結ミトコンドリアをリン酸緩衝液で洗浄した後、コ-ル酸存在下で抽出した画分を新しい酵素精製の出発材料とした。 1。新しいアシルーCoAデヒドロゲナ-ゼは熱処理、硫酸アンモニウウム沈殿、DEAEセルロ-ス、ホスフォセルロ-スカラムクロマトグラフィ-で精製した。本酵素は、分子的、触媒的諸性質から、従来知られていた短鎖、中鎖、長鎖アシルーCoAデヒドロゲナ-ゼのものと異なっており、我々は本酵素を極長鎖アシルーCoAデヒドロゲナ-ゼと呼んでいる。 2。従来長鎖3ーヒドロキシアシルーCoAデヒドロゲナ-ゼとしてその存在のみが知られていた酵素を、ポリエチレングリコ-ル沈殿、DEAEセルロ-ス、ホスフォセルロ-スカラムクロマトグラフィ-で精製した。本酵素精製標品には従来から知られているはエノイルーCoAヒドラタ-ゼ、3ーヒドロキシアシルーCoAデヒドロゲナ-ゼ、3ーケトアシルーCoAチオラ-ゼは混在していないが、これら三つの酵素の活性を示し、これらの活性を分離することができなかった。本酵素の分子的、触媒的諸性質がこれら酵素のそれと異なることから、本酵素は3頭酵素で、ミトコンドリア脂肪酸βー酸化系酵素で始めて多機能酵素が見出された。
|