研究概要 |
私達がcDNAクロ-ニングにより同定したCRE(cAMP response element)結合蛋白質CREーBP1のリン酸化部位と機能ドメインの関連を解析した。まずCREーBP1のcDNAに一連の欠失変異、点変異を導入し、CREーBP1変異体の発現ベクタ-を作製した。これらの発現ベクタ-をCREを持つCATレポ-タ-プラスミドと共に培養細胞にトランスフェクション法で導入し、発現されるCREーBP1変異体の転写活性化能を解析した。その結果、正常CREーBP1はCREを介して転写を活性化する能力を持つこと、転写活性化のためにはN末端付近のメタルフィンガ-構造を含む転写活性化ドメインとC末端付近の活性基性アミノ酸クラスタ-とロイシンジッパ-構造からなるDNA結合ドメインが必要であることが明かとなった。次にcDNAを用いて大腸菌で発現させたCREーBP1を基質としてAキナ-ゼによるリン酸化をin vitroで解析した。その結果、CREーBP1は両キナ-ゼで効率良くリン酸化されることが示された。さらにそのリン酸化部位を決定したところ、Aキナ-ゼは転写活性化ドメイン内の62番目のSer残基を、またCキナ-ゼはDNA結合ドメイン内の340,367番目の2つのSer残基をリン酸化することが明かとなった。このように機能上重要な部位がリン酸化されることが明かとなり、リン酸化による機能制御が強く示唆された。また転写制御因子として機能する核内がん遺伝子産物Mybのリン酸化と転写制御能の関連を解析した。Mybの11,12番目のser残基はカゼインキナ-ゼIIにより効率良くリン酸化されるので、この部位をAlaに変えた変異体の転写活性化能を解析したところ、約50〜100%の上昇が見られた。今後いろいろな条件下でさらに検討することが必要である。
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