研究概要 |
ミオシンアルカリ軽鎖遺伝子の発現制御に関与する因子(1)骨格筋特異エンハンサ-,(2)MLCボックス,(3)負に制御する因子NREの解析を行った。又、これらの因子と筋分化制御路子との関係を解析した。 (1)骨格筋特異エンハンサ-、…骨格筋軽鎖遺伝子の上流2kbに存在する。2個のMyoD結合配列があり、両配列が活性にとって必須である。このMyoDサイトにはMyoD,Myogeminが直接結合し、軽鎖遺伝子の軽写を誘導する。しかし、同じ機能を持つMRF4はエンハンサ-への結合,転写誘導活性を示さない。 (2)MLCボックス……ミオシン軽鎖遺伝子群のプロモ-タ-に存在する共通配列が見い出され、MLCボックスと名づけた。MLCボックスとアクチンのCArGボックスはよく似た配列をもち、検討の結果、同一の転写因子が結合することが明らかになった。MyoD,MyogeniuによりMLCボックスが活性化されるがMyoD,MyogeninがMLCボックスには直接結合しない。 (3)負に転写を制御する因子NRE・……骨格筋の発生過程では三種のミオシンアルカリ軽鎖遺伝子が発現するが、その一つに心筋タイプの軽鎖遺伝子があり、この遺伝子は発生過程でその発現が止まる。なぜ、発現が止まるのかを検討したところ、骨格筋で同遺伝子の発現をおさえる因子,NREを同定した。NREはプロモ-タ-にMLCボックスが存在することが活性にとって必須らしいと推定できる結果が得られている。なお,NREは心筋細胞では働かない。又、骨格筋細胞には特異的に結合する因子が存在するが、同様の因子は心筋には存在しない。
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