研究概要 |
1 筋分化制御因子の一つであるMyogeninの機能と胚発生における発現を調べた。ミオシン軽鎖遺伝子の上流に存在するエンハンサー領域(ELC1)の解析により、Myogeninによって特異的に活性化されるエンハンサーを見いだした。ELC1にはMyoDファミリーの結合配列であるE-boxが5個ならんでおり、上流2個はMyoDによって活性化されるエンハンサー(ELC1D)であり、下流3個はMyogeninによって活性化されるエンハンサ(ELC1G)である。次に特異性を決定している要因を調べとた。MyoD,Myogeninが直接結合するE-boxは交換可能である。MyoD, Myogeninのキメラ蛋白を合成して、その機能を調べたところ、DNAに結合するドメインであるbHLH配列は交換可能で特異性を規定せず、転写活性化ドメインが含まれるN末、C末配列がいずれに由来するかによってその特異性が規定されることが明かとなった。 2 胚発生におけるMyogeninの発現を調べるためにMyogenin遺伝子の上流配列の解析を行い、-2kbと-100までのプロモーターに制御領域を見いだした。ついで上流配列4kbとLacZをつなぎ、トランスジェニックマウスを作成し、発現を調べたところ、初期胚ではLacZの発現は体節、Myotomeなど、筋芽細胞が発生する部位でのみ発現し、発生が進むと骨格筋でのみ発現することが確認された。骨格筋細胞での特異的発現を制御する因子が同定され、また、筋特異的発現が個体レベルでも確認されたので、個体レベルの筋細胞の操作、遺伝子導入などに応用できると考えられる。 3 Myogenin遺伝子の機能を解析する目的で相同組み替えによりMyogenin遺伝子機能を欠失したマウス系統を作成した。現在、掛け合わせにより、ホモ個体の表現型を解析中である。
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