研究課題/領域番号 |
02454159
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
木南 英紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (10035496)
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研究分担者 |
勝沼 信彦 徳島大学, 酵素科学センター, 教授 (50035375)
石堂 一巳 順天堂大学, 医学部, 助手 (40212906)
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キーワード | リソゾ-ム / プロテア-ゼ / カテプシン / 骨吸収 / 神経細胞 / 変性 |
研究概要 |
本研究は2つの病態におけるリソゾ-ムプロテア-ゼ群の関与の機構と制御を明らかにし、治療への指針を得ることを目的としている。神経細胞の変性とリソゾ-ムプロテア-ゼに関する御究は遅発性神経細胞死のモデルとしてスナネズミの虚血脳を用いて行った。スナネズミの両側総頭動脈を5分間結さつ後、再開流させると海馬のCAI神経細胞が3日目から変性し、7〜14日目には細胞が脱落する。カテプシンL、B及びCは正常神経細胞内に顆粒状(おそらくリソゾ-ム)に局在するが、神経細胞の変性脱落と共に減少傾向がみられた。しかし、海馬CAI領域ホモジネ-トの比活性は変性共にやや上昇していた。一方、カテプシンHは正常神経細胞には局在しないが、脱落と共に逆に上昇し、グリア細胞の一部と変性神経細胞が強く染色された。ミクログリアのマ-カ-として用いたC3dRは3日目ぐらいから出現し、7日目では脱落細胞の周辺に多数の濃染細胞がみられた。この結果は、神経細胞の変性につれ、細胞内のカテプシンは他の成分と共に減少(細胞外への放出も含む)し、細胞死が顕性となる3日目以降ミクログリアを中心とするスカベンジャ-細胞(カテプシンHを含む)の出現が顕在化することを示唆する(木南、石堂)。骨吸収とリソゾ-ムプロテア-ゼの研究は低Ca食による実験的骨祖鬆症ラットを用いて、骨吸収におけるカテプシンの役割を調べた。数週間低Ca食で飼育すると、大腿骨中のカテプシンBおよびL活性は数倍に増加していたが、コラ-ゲナ-ゼ活性の上昇はなかった。Eー64を低Ca食動物に投与すると、骨中のカテプシン活性の低下と共に血中Ca濃度の上昇が著明に抑制された。しかし、カテプシンBの特異的なインヒビタ-の投与では骨中のカテプシンBおよびLの低下にかかわらず血中Ca濃度の低下は起こらなかった。以下骨吸収に関与するカテプシンLの重要性が示唆された(勝沼)。
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