研究概要 |
マウス頭頂骨を用いた骨器官培養実験系で、PTH、活性型ビタミンD添加によりCa^<2+>遊離、コラ-ゲン分解、リソゾ-ム酵素の分泌が進されることがわかった。カテプシンB、Lも分泌促進されているかをみるために、無血清培地を用い、培地中に遊離したカテプシン量を調べると、カテプシンL(大部分プロカテプシンL)がPTH,ビタミンD依存的に放出されていた。カテプシンBの分泌量はLよりもすっと少なかった。さらにこのカテプシンLの分泌量の増加の一部はPTHによる骨内カテプシンの増加によるという結果を得ており、mRNAのレベルの変化を現在追求中である。ラット大腿骨におけるカテプシンB,L,Hの分布を免疫組織学的に調べ、これらの酵素は殆んどが破骨細胞に局在することがわかった。また、骨組織はカテプシンLを他の酵素より多く含むことも確認された。スナネズミを用いた虚血に続く遅発性神経細胞死ではさらにマ-カ-を増やし、そのプロセスを追求した。ニュ-ロンの変性の過程で細胞内のカテプシンは正常細胞よりむしろ強く染まるものがあること、変性神経細胞の処理にミクログリア(カテプシンH陽性)が遊走してき、神経細胞が脱落する7ー14日頃になると、反応性アストログリアが著明に増殖してくるというプロセスを確認できた。アルツハイマ-脳ではニュ-ロンの変性につれ、リソゾ-ムとその内容物がニュ-ロンから出てくる、つまり細胞外の老人班にもカテプシンの免疫反応が局在することを見い出した。カテプシン群は他の膜攻撃性の酸水解酵素とともに前駆体蛋白を切断し、βー蛋白の形成を促進するかもしれない。本研究の遂行に関連した研究もおおいに進歩した。
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