研究概要 |
ヤケヒョウダニに対するIgE抗体陽性の鼻アレルギ-患者の末梢血リンパ球をin vitroでダニ抗原による2次刺激を加え、ダニ抗原に特異的に反応するCD3^+,CD4^+,CD8^ーT細胞クロ-ン40株を作製した。ヤケヒョウダニ虫体より抽出した粗抗原をゲル濾過によって14個の分子量分画に分けてT細胞クロ-ンを刺激した場合、40株のクロ-ン中に少なくとも5通りの異なった反応パタ-ンが存在した。さらに、各T細胞クロ-ンはコナヒョウヒダニに対する反応を示すものと示さないものとがあり、またユスリカ抗原にも交叉反応を示すものが認められた。以上のT細胞クロ-ンの反応パタ-ンから、ヤケヒョウヒダニ虫体抗原には、少なくとも10個以上の主要なT細胞認識抗原決定基の存在が考えられた。得られたT細胞クロ-ンの機能をダニ抗原刺激に特異的なサイトカイン産生反応によって調べた。検討したクロ-ンの多くはILー2,ILー4,INFーγすべてを産生したが、IgE産生を促進すると推定されるILー4(+),ILー4(ー)の産生パタ-ンを示すものも存在した。ダニ粗抗原中の特定の分画に対するT細胞反応がIgE産生を促進または抑制するという事実はサイトカイン産生を指標とした検討では観察されなかった。 ダニ抗原に表現されたT細胞認識エピト-プをアミノ酸レベルで同定するために、Der p II分子の一次配列から親水、疎水両親和性を取り得る構造部分を推定し、そのオリゴペプチドを3種類合成した。T細胞クロ-ンをオリゴペプチドで刺激したところ、Der p II分子のN末より58ー73番めの部分に有意な反応を示すものがみつかり、この16merのオリゴペプチド中にT細胞の認識するエピト-プの存在することが推定された。エピト-プの同定のために、1個ずつアミノ酸を置換したバリアントペプチドによる検討を行う予定である。
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