研究概要 |
当初計画としてまず変異RepA蛋白質の精製を挙げたが、多大の努力にも拘らず不成功に終った。そこで大腸菌内における野性型および種々の変異RepA蛋白質の安定性と、RepA N末端側の機能解析に主眼をおいて研究を行い、次の成果を得た。 1.RepA蛋白質のin vivo安定性:野性型または変異<repA>___ー遺伝子をクロ-ン化したpFD51組換え体プラスミドを持つ大腸菌JC1569について、対数増殖中期にクロラムフェニコ-ルを加えた後、経時的にサンプリングしウェスタンブロット法によりRepA量を追跡した。 (1)野性型および<cop1>___ー変異RepAは、共に極めて安定であった(Cp添加30分後70%以上の残存量)。 (2)RepA C末端近傍に変異がありそのため複製開始能を失ったZ279(Ang279→Gly),Z268(Lys268→Gln)もほヾ野性型同様に安定であったが、C末端側143コのアミノ酸を失ったRepA△C143の場合、Cp添加後30分にはほとんど検出不可能であった。 2.RepA N末端の機能:上記(2)のRepA△C143蛋白質は、それをコ-ドする欠失<repA>___ー遺伝子と複製開始領域<ori>___ーが自然の構成を保って配置しているときにのみ,すなわちミニRts1マップ上(1441ー697)部分が分断されることなくpBR322にクロ-ン化されたとき,大腸菌JG112(<polA>___ー)中で低効率ながら複製可能であることを証明した。このことはRepA N末端側に複製開始能が担われていること,それに対しC末端側は複製開始の効率を高める働きを持つことを示唆する。 更に、RepA△C143が極めて不安定でありながら複製開始能があることと<ori>___ー・<repA>___ーの位置関係についての事実を考え合わせると、denovoに合成されたRepA分子が<ori>___ーに有効に働くためには、<ori>___ー・<repA>___ーの自然な配列が重要であることを推察させる。
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