研究課題/領域番号 |
02454179
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
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研究分担者 |
良原 栄策 東海大学, 医学部, 講師 (70167063)
石井 純子 東海大学, 医学部, 助手 (20212813)
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キーワード | 緑膿菌 / 抗生物質 / 外膜 / 透過性 / 透過孔 / ポ-リン / リポソ-ム |
研究概要 |
緑膿菌は免疫力の低下した患者に感染を起こし、高度薬剤自然耐性を示すことから難治性疾患の一つである。この薬剤耐性の原因の一つはこの菌の外膜における透過性の悪さに原因していると考えられてきた。そこで我々は外膜に存在する透過孔形成タンパク質、ポ-リンを介しての抗生物質の透過性を測定した。リン脂質と緑膿菌外膜ポ-リンC、DもしくはEから人工膜小胞を形成し、この膜を介しての各種βーラクタム剤の透過性を測定し、その透過速度を同じリポソ-ムを介してのブドウ糖の透過速度として測定した。その結果つぎのような事が明かとなった。1.最近開発された抗緑膿菌生活性の強いイミペネムやメロペネムはprotein Dを介して効率よく透過する。その透過活性はブドウ糖の透過速度の32ー56%程度であった。イミペネムはprotein C、及びEを介してもブドウ糖の約10%前後の速度で透過した。2.セファレキシン、セファクロ-ル、セファロリジンなどのセファロスポリンはprotein C、D、Eのいずれの孔を介してもその透過効率は低くprotein Dを介してのブドウ糖の透過の4%以下であり、おおよそ測定の限界に近かった。3.抗緑膿菌活性を有する他のβーラクタム剤の代表としてセフォペラゾン、ピペラシリン、セフタジダイム及びセフスロジン等の透過性を測定したが、これらの荷電を有する薬剤は測定が困難であったがprotrein C、D、Eのうちprotein Cを介してわずかに透過する事が明かとなった。上に述べたように緑膿菌のポ-リンを介して効率よく透率するのはイミペネム等の低分子カルバペルムであった。それでなぜイミペネムの透過は効率が良いかを調べるためにprotein Dを介してのブドウ糖、グルコサミン(正に荷電)及びグルコン酸(負に荷電)の透過を測定したところグルコサミンの透過性がより高かった。従ってprotein Dを介して効率よく透過するには正の荷電を有している事が大事かも知れない。
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