1.クラスII主要組織適合性複合体(MHC)拘束性BーB細胞間相互作用に於いてIーA分子は拘束分子として機能するが、IーE分子には拘束分子としての機能が認められない事から、B細胞のIーAとIーE分子は異なった機能を有する事が明らかとなった。 2.IーA分子を発現するB細胞株は正常B細胞と同様にクラスII MHC拘束性B細胞活性化過程に於いて補助細胞として機能するが、IーA陽性マクロファ-ジ(Mφ)/樹状細胞(DC)濃縮画分やIーA遺伝子導入繊維芽細胞にはこのような補助細胞活性は認められない事から、BーB細胞間相互作用によるB細胞活性化にはIーA分子の認識のみならずB細胞ユニ-クな何らかの情報伝達が不可欠である事が示された。 3.T細胞非依存性抗原による抗ーハプテン抗体産生応答に於けるB細胞の活性化様式には、LPS刺激による多クロ-ン性B細胞活性化過程で見られる表面免疫グロブリン(sIg)分子が関与しないがIーA分子に依存した活性化機構と、ハプテン化LPSによる抗ーハプテン抗体産生応答で認められる表面Ig分子に依存するがIーA拘束性の介在しない活性化機構の少なくともふたつの経路が存在する事が明らかとなった。 4.PBA刺激により多クロ-ン性B細胞活性化の一部として誘導される抗ーBrMRBC(ブロメライン処理マウス赤血球)自己抗体産生応答に於いて低応答遺伝子型を有するB細胞を高応答マウスのIーA分子に対する拘束性を獲得し得る環境下で成熟させると、低応答遺伝子型B細胞の表現型が高応答性を示すように変換される事が明かとなった。即ち、クラスIIMHC分子により誘導されるB細胞のIーA拘束特異性の変化がB細胞レパ-トリ-の形成に重要な役割を果たしている事が示された。
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