研究概要 |
平成2年度から本研究計画においてB細胞特異的遺伝子mb-1のB細胞における発現や機能を解析するためにこの遺伝子産物に対する特異的抗体、モノクローナル抗体を作成して解析を行なってきた。(1)MB-1分子の推定アミノ酸配列から細胞外部分に相当する合成ペプチドを4種類選別し(Nomura et al.,Int.Immunol.1991)、(2)protein-Aやβ-galactosidaseとの融合蛋白(Sakaguchi et al.,Adv.Immunol.1993 in press)、(3)MB-1高発現細胞を免疫してratで抗マウスMB-1モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(Nomura,Inui et al.,未発表)を樹立した。これらの抗体を用いて、B細胞系リンパ腫、正常リンパ細胞でのmb-1遺伝子産物の解析を行なった(Nomura et al.,1991;Matsuo et al.,1991,1993)。その結果、この遺伝子産物はB細胞表面でlgM抗原受容体とmonomerあるいはheterodimerの型で結合していること、B細胞のシグナル伝達に関与していることが示された。さらにこの分子はlgMレセプターを発現していない未分化なステージのB細胞前駆細胞でも発現していて(Inui and Sakaguchi,Immunol.Letters,1992;Ichigi et al.,投稿中)、これらのステージでの役割が重要と考えられた。現在この分子がB細胞初期分化、活性化に果たす機能の解析を行なっている。
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