研究課題/領域番号 |
02454197
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋 東北大学, 医学部, 教授 (40125571)
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研究分担者 |
渡辺 知保 東北大学, 医学部, 助手 (70220902)
中塚 晴夫 東北大学, 医学部, 助手 (70164225)
小山 洋 東北大学, 医学部, 助教授 (30143192)
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キーワード | 水銀蒸気 / 水銀蒸気曝露 / 水銀鉱山労働者 / アルコール / 呼気中水銀 / 水銀中毒罹患経験 |
研究概要 |
本年度の成果の概要は、以下のとおりである。(1)昨年度までに行なった、過去に水銀蒸気曝露のあった鉱山労働者の、アルコール摂取前後の呼気中水銀の分析を、繰り返し人数を増やして行なった。水銀中毒罹患経験者では、アルコール摂取後30分後から120分後にかけて、呼気中水銀濃度の上昇が継続するが、罹患を経験しない者は、上昇はするもののその程度はやや低い傾向にあった。ただこの両者を比較した場合に明確な区分が出来るほどの差はなかった。この原因については、まだ詳細は不明であるが、曝露の中止から20年あるいはそれ以上経過しているものがほとんどであることも関係していると考えられる。したがって、単に対象者を大きく区分するだけでなく、曝露中および中止後の様々な要因を取り込んだ多変量の解析を行なうべきと考えられ、今後の検討課題である。しかし、一部の例外を除き、同一個人の繰り返し調査が可能であった例では、類似の結果を示し、アルコール投与後の呼気中水銀の排泄のパターンが、過去の曝露と関連してあることが示唆された。(2)マウスの実験においては、臓器中水銀の分析を行ない、それらの濃度と呼気中水銀に密接な関係があることを明らかにできた。ただし、曝露(この実験では無機水銀を投与)からの時間の経過によっては、密接に関連する組織が異なり、曝露後の時間経過によって起きる、生体内での再分布(組織間だけでなく細胞内も含む)が関係することが示唆された。これは、(1)の今後の課題とも関係すると考えられた。
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