研究課題/領域番号 |
02454200
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 康浩 名古屋大学, 医学部, 教授 (90022805)
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研究分担者 |
柴田 英治 名古屋大学, 医学部, 助手 (90206128)
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
久永 直見 名古屋大学, 医学部, 講師 (90111856)
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キーワード | 有機溶剤 / トルエン / 中枢神経毒性 / 神経特異蛋白 / 神経伝達物質 |
研究概要 |
有機溶剤中毒による中枢神経障害は中毒症例の解析により自覚症、小脳症状などの臨床医学的所見、脳波異常、CTの異常、痙攣閾値の低下等で明らかにしてきた。最近では疫学的に初老性痴呆など中枢神経障害者に有機溶剤曝露歴が多いことが報告されている。しかし、その障害部位や障害機序については十分明らかにされていない。そこで、免疫生化学的に測定できるようになった神経細胞障害のマ-カ-としてγーエノラ-ゼとカルビンジンーD、神経膠細胞障害のマ-カ-としてαーエノラ-ゼ、βーS100蛋白、クレアチンキナ-ゼーBおよび神経伝達物質であるアミン類の変化を指標として、有機溶剤曝露時の中枢神経障害の部位および機序を明らかにし、有機溶剤による中枢神経障害の早期診断や衛生基準設定の基礎資料を提供しようとするものである。中枢神経毒性の強いと考えられているトルエンを100.300.1000ppmの濃度段階別にラットに吸入曝露し、濃度及び非曝露群の濃度段階別の量ー反応関係を検討した。ラットは1群8匹とし、曝露期間は1日8時間、週6日、16週間とした。測定は大脳皮質、小脳、脳幹部、脊髄、坐骨神経とした。その結果、末梢神経では有意な変化は認められなかったが、中枢神経系ではいずれの指標も有意な変化が認められた。前に実施した末梢神経毒性の強いノルマルヘキサン2000ppmを1日12時間、週6日、24週間曝露し結果では末梢神経で有意な変化が認められたが、中枢神経では有意な変化は認められなかったことと対照的であった。従って、測定したマ-カ-が神経系の障害のよい指標であることを示した。また、トルエン100ppm群でも中枢神経系のこれらの指標に有意な変化が認められ、許容濃度の再検討に重要な資料を提供する結果をえた。トルエン投与時の脳内各部位の神経伝達物質の測定は新規に購入した電気化学検出器付高速液体クロマトグラフの精度及び信頼度を検討し、準備もほぼ完了したので次年度から実施する予定である。
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