研究課題/領域番号 |
02454213
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
二塚 信 熊本大学, 医学部, 教授 (80040195)
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研究分担者 |
宮北 隆志 熊本大学, 医学部, 講師 (50112404)
北野 隆雄 熊本大学, 医学部, 助手 (50214804)
稲岡 司 熊本大学, 医学部, 助手 (60176386)
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キーワード | 振動障害 / 振動負荷実験 / 末梢血圧 / 光電容積脈波 / 労働生理 |
研究概要 |
チェンソ-操作に伴なう手指末梢血流の生理的反応を検討するため、同工具操作の際の振動、騒音、工具把持の各要因が負荷されたときの皮膚温、皮膚血流を観察し、手指血流はonーtimeで減少し、offーtimeで増加するという再現性の強いパタ-ンを認め、その変動の大きさは3つの要因が複合されたときに最も大きいことを認めた。本研究では、末梢血管の動態を光電容積脈波法を利用した血圧モニタシステムを用いて観察した。実験対象は振動工具作業歴のない成人男子6名(2回)で、環境気温27±2℃の条件下で、チェンソ-操作120秒のonーtime期間中及びその前後300秒間の手指末梢血圧を60秒間隔で自動的に収録した。 無負荷起立位における手指血圧の平均値は127±13mmHgであった。各被検者の負荷前の血圧には若干の変動があるので、各被検者の負荷前のレベルを100として正規化し負荷時の変動をみると、無負荷立位(98.0±6.3)に比し、無負荷チェンソ-把持(105.4±11.6)及び振動+騒音のみ(102.4±5.6)で有意(p<0.05)の上昇を示し、さらに振動+騒音+把持すなわち通常のチェンソ-操作条件下(124.5±8.7)では、これら各要因の単独負荷時に比し有意(p<0.01)の上昇を示した。因みに、この条件下での平均血圧(負荷90秒値)は152±15mmHgで、1例を除く総てで20%以上の上昇がみられた。但し、これらの上昇は一過性のもので、負荷解除に伴ない直ちに回復した。皮膚血流量の観察では明瞭な変化を認めた無負荷チェンソ-把持(7.9kg重量)では上記のごとく5.4%にとどまり、10%を上回る上昇を示したのは12例中5例であった。なお、上腕動脈血圧も同時に観察したが、特記すべき変動はみられなかった。このような実験成績は世界でも最初の報告であり、手指末梢血圧の変動が末梢血管の機能性(緊張性)を示す有効な指標と考えれば、振動工具操作に伴なう末梢血管収縮性の変化には注目すべきものがある。
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