研究課題/領域番号 |
02454214
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
安達 修一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90129148)
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研究分担者 |
川村 堅 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60204773)
竹本 和夫 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50049764)
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キーワード | 石綿代替 / 石綿 / 発がん / 中皮腫 / 肺がん / ラジカル / DNA損傷 / 8-ヒドロキシグアニン |
研究概要 |
石綿繊維によるDNAの酸化的障害が、Dose dependentにFe(含糖酸化鉄)によって増強されることを試験管内での8-Hydroxguanine(oh^8dG)の生成から明らかにした。さらに、実験動物への石綿繊維の腹腔内投与後、Feを継続的に投与すると中皮腫の発生率が明らかに増加し、 in vivoでもFeの発がん促進作用を確認した。これらの成績と最近のoh^8dGに関する知見とを併せると、DNAの酸化的損傷は、繊維状粉じんによる発がんの初期の一過程であり、発がん機構の有力な仮説として捉えることができた。石綿代替繊維などの繊維状粉じんの発がん性を、繊維によるDNA障害性の程度から評価するためには、どの様な反応系が最も実際の生体内反応を再現できるかなど解決すべき点が残されている。また、吸入動態(吸入、沈着、可溶化、他の組織への移行性)を含め総合的な判定が必要と考えられる。 一方、生体におけるDNAの酸化的障害性の感受性が、微量元素の欠乏あるいは増殖期の細胞で変化するかを検討した。重度のFe欠乏状態では、肝にCuの蓄積がもたらされ、その結果、oh^8dGの自然発生量に増加が観察された。しかし、Mn・Cu欠乏では逆にoh^8dG量の低下が見られた。肝の部分切除後の再生期に酸化的障害を誘発させると、静止期の肝細胞に比較してその感受性の高いことが示された。これらの成績は、石綿代替繊維および石綿に含有される各種の元素、繊維状粉じんの肺組織内沈着に伴う細胞の炎症と増殖が、発がんにおける促進的な要因になりうることを推察させる結果であった。
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