研究課題/領域番号 |
02454217
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高津 光洋 東京慈恵会医科大学, 法医学教室, 教授 (60010089)
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研究分担者 |
福井 謙二 東京慈恵会医科大学, 法医学教室, 助手 (60199180)
重田 聡男 東京慈恵会医科大学, 法医学教室, 助手 (80147321)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 病理部, 部長 (50012779)
大野 典也 東京慈恵会医科大学, 第一細菌学教室, 教授 (60147288)
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キーワード | 乳幼児突然死 / SIDS / ウィルス感染症 / DNA分析 / ウィルス学的分析 / DNAプロ-ブ / in situ hybridization |
研究概要 |
乳幼児突然死例におけるウィルス感染症の関与を示唆する資料を得るために、慈恵医大での剖検例52例を中心に、死因の明らかな病死や外因死14例を対象にして、周産期因子の分析、ウィルス性感染症の病理組織学的変化について検討を加えた。この結果、Sheffield birth scoring systemでのスコアがとれた症例44例中、乳幼児突然死症候群(SIDS)のハイリスク児に相当したものは4例であった。その剖検診断では1例のみがSIDSと診断され、残りはウィルス性感染症が疑われた。病理形態学的分析では28例がウィルス性肺炎、3例がウィルス性心筋炎、7例がSIDSと診断されていた。SIDSと診断された7例中、周産期因子がハイリスクに属していたのは1例にすぎず、このスコアがSIDSの予知、予防に役立つ可能性は低いようである。呼吸器系を中心にウィルス感染症を示唆する病理形態学的変化の検索を行ったところ、前述の28例にその所見が認められ、その8例からインフルエンザ、コクサッキ-B型、サイトメガロなどのウィルス抗原が検出された。そこで、これらの病変の認められた症例で未知なウィルスが関与していないか、少なくともウィルス性感染症をSIDSと明確に区別するためにDNA分析の導入を試みた。細菌に関してはインフルエンザ菌を用いてDNA分析によりこの細菌の同定を試み、これが可能であることが判明した。ウィルスに関しては乳幼児突然死の原因となり得るウィルスのうち、免疫組織化学的にウィルス抗原の検出し難いものについてDNAプロ-ブの開発を行い、CMV及びEVについてのプロ-ブが得られ、現在応用を試みている。細菌でもウィルスでも、DNA分析を法医病理学領域で応用する場合には、in situ hybridization法とPCR法が強力な武器であるが、後者においては感度は高いものの非特異的陽性像が得られることがあるので、パピロ-マウィルスを用いてPCR法の特異性の検定法が開発された。
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