研究概要 |
雄性ウィスタ-ラットの腸間膜を既報の方法で摘出潅流標本を作成した。高血圧モデルとして、DOCAー食塩ラットおよび、デキサメサゾン投与ラット(Dex)を用いた。腎レニン・アンジオテンシン系の影響を除外する為、両腎摘ラットについても同様の検討を行った。又、アンジオテンシンと同様、強力な血管平滑筋収縮作用を有するエンドテリン(ET)についても,高血圧自然発症ラット(SHR)を対象に実験を行った。その結果,対照ラットに比し、DOCA群およびDex群では血管壁アンジオテンシンII産生は明らかに低値を示した(対照群43±12pg/h,DOCA群12.8±7.1pg/h,Dex群6.9±1.2pg/h)。今回、測定した潅流液中のアンジオテンシン量は、動脈壁での産生を反映していると想定されるが、実験動物モデルによるその産生量に差のあることは、動脈硬化の進展に遅いを生ずる可能性を示唆する。エンドテリンに関して,循環血中濃度は極めて低値で、もっぱら局所での作用が重要であり、局所ホルモンとして血管緊張や血流の調節にかかわるものと推定される。今回冠動脈での産生量を定量的に評価し得なかったが、次年度に解明したい。SKRの血管壁ではETの産生は低値との報告もあるが、我々の成績では、高血圧発症前より産生は亢進しており、高血圧の発症進展にETが関与しうることを示唆する。即ち、対照WKYラットでは5ー6wkで23.4±2.1同期SHRでは32.8±2.8(p<0.05)pg/h,9ー10週令WKYでは34.8±3.7同期SHRでは47.5±4.1pg/h(P<0.05)との結果を得た。今後、冠動脈での産生量を定量評価したい。
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