1991 年度実績報告書

HTLVー1感染による免疫異常の病因と病態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	02454225
研究機関	聖マリアンナ医科大学
研究代表者	西岡久壽樹聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60049070)
研究分担者	山本一彦東京大学, 医学部, 講師 (80191394)
キーワード	HTLVー1 associated arthropathy / 滑膜増殖 / protooncogene / colony formation / genomic transfer / contact in hition loss / 足場非依存性増殖
研究概要	本年度の研究は、HTLVーIプロウイルスDNAが組み込まれた滑膜細胞クロ-ン(SKーP)が初めて樹立できたことで、昨年、我々が示した非T細胞へのトロピズムが明確に証明された。また、現在までの報告では、健常感染者でのHTLVーIの末梢血T細胞への感染率は0.11%から10%程度である。実際、本症例におけるそれは、約0.1%程度であった。従って、30.2%以上という滑膜細胞での存在率は非常に高いものといえる。病巣局所へのウイルスの集積の機序にはいくつかの可能性が考えられるが、その一つにウイルスが組み込まれることにより非感染細胞に比べ増殖が亢進し、徐々にウイルスが組み込まれた細胞群の占める割合が増えてくるという可能性が考えられる。このことを確認するために行われた軟寒天培地上でのコロニ-形成法の結果は、上の可能性を強く支持するものである。血清非存在下での48時間の培養で、線維芽細胞をはじめ、多くの細胞が培養分裂周期の静止期にとどまることが知られている。滑膜細胞クロ-ンでも、HTLVーIが組み込まれていないSKーNクロ-ンはcーfosのmRNAが全く認められず、静止期に入っていることが推測された。一方、SKーPクロ-ンは、cーfos mDRNAの過剰発現が認められ、静止期にとどまらない非常に強い増殖活性を備えていることが示唆された。また、SKーPクロ-ンでは滑膜細胞増殖に深く関与し、かつ免疫担当細胞の活性を司どると考えられている炎症性サイトカインの一種であるILー1β、及びILー6mRNAの過剰発現を認めたことは、HAAPのみならず慢性関節リウマチの細胞増殖機序に関与する遺伝子の存在を強く示唆しているのみならず、それに伴う免疫学側面を考える上で重要な知見といえよう。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] MIYASAKA N.;NISHIOKA K.et al: "Production of Interleukin-1 β-like Factor with Synovid Cell Growth Promoting Activity from Adult T-cell Leukenia Cells" Journal of Autoimmunity. 4. 1223-236 (1991)
[文献書誌] SATO K.;NISHIOKA K.et al: "Arthritis in Patients Infeted with Human Lymphotropic Virus Typ-1" Arthritis & Rheumatism. 34-6. 715-721 (1991)
[文献書誌] 西岡久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーC型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 31ー4. 420-429 (1991)
[文献書誌] IWAKURA Y.;NISHIOKA K.et al: "Induction of Inflammatory Arthropathy Resembling Rheumatoid Arthritis in Mice Transgenic for HTLV-1" Science. 1026-1029 (1991)
[文献書誌] 西岡久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーc型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 589-591 (1991)
[文献書誌] KITAJIMA I.;NISHIOKA K.et al: "Detection of Human T Cell Lymphotropic Virus Type-1 Proriral DNA and Its Gene Expression in Synovial Cells in Chronic Inflammatory Arthropathy" The Journal of Clinical Investigation. 1315-1322 (1991)
[文献書誌] 佐藤和人,西岡久寿樹他: "HTLVー1 Associated Arthropathy(HAAP)" 臨床免疫. 23ー2. 250-258 (1991)
[文献書誌] 西岡久寿樹: "病因の進歩に基づく新しい治療方針の現状と開発" 日本臨床. 50ー3. 629-638 (1992)

1991 年度 実績報告書

HTLVー1感染による免疫異常の病因と病態に関する研究

研究代表者

西岡 久壽樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60049070)

研究成果

[文献書誌] MIYASAKA N.;NISHIOKA K.et al: "Production of Interleukin-1 β-like Factor with Synovid Cell Growth Promoting Activity from Adult T-cell Leukenia Cells" Journal of Autoimmunity. 4. 1223-236 (1991)

[文献書誌] SATO K.;NISHIOKA K.et al: "Arthritis in Patients Infeted with Human Lymphotropic Virus Typ-1" Arthritis & Rheumatism. 34-6. 715-721 (1991)

[文献書誌] 西岡 久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーC型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 31ー4. 420-429 (1991)

[文献書誌] IWAKURA Y.;NISHIOKA K.et al: "Induction of Inflammatory Arthropathy Resembling Rheumatoid Arthritis in Mice Transgenic for HTLV-1" Science. 1026-1029 (1991)

[文献書誌] 西岡 久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーc型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 589-591 (1991)

[文献書誌] KITAJIMA I.;NISHIOKA K.et al: "Detection of Human T Cell Lymphotropic Virus Type-1 Proriral DNA and Its Gene Expression in Synovial Cells in Chronic Inflammatory Arthropathy" The Journal of Clinical Investigation. 1315-1322 (1991)

[文献書誌] 佐藤 和人,西岡 久寿樹他: "HTLVー1 Associated Arthropathy(HAAP)" 臨床免疫. 23ー2. 250-258 (1991)

[文献書誌] 西岡 久寿樹: "病因の進歩に基づく新しい治療方針の現状と開発" 日本臨床. 50ー3. 629-638 (1992)

1991 年度実績報告書

西岡久壽樹聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60049070)

[文献書誌] 西岡久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーC型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 31ー4. 420-429 (1991)

[文献書誌] 西岡久壽樹: "ウイルス感染と関節炎ーc型レトロウイルスによる滑膜増殖機構ー" リウマチ. 589-591 (1991)

[文献書誌] 佐藤和人,西岡久寿樹他: "HTLVー1 Associated Arthropathy(HAAP)" 臨床免疫. 23ー2. 250-258 (1991)

[文献書誌] 西岡久寿樹: "病因の進歩に基づく新しい治療方針の現状と開発" 日本臨床. 50ー3. 629-638 (1992)