研究課題/領域番号 |
02454228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 四郎 東京大学, 医学部(病), 講師 (30010309)
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研究分担者 |
四柳 宏 東京大学, 医学部(病), 医員
小池 和彦 東京大学, 医学部(病), 助手 (90234658)
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キーワード | トランスジェニックマウス / 胃癌 / アデノウイルス |
研究概要 |
昨年度はアデノウイルス12型E1遺伝子をもつマウスでは胃癌が発生することを示した。E1A、E1B遺伝子をそれぞれ単独でMMTVの制御領域の下にもつトランスジェニックマウスは、デキサメサゾン週三回腹腔内投与で持続的に刺激され、E1A、E1B遺伝子の発現を継続させた。50匹以上のマウスを平均20カ月にわたって観察を続けたが、胃癌、その他の臓器の癌は発生しなかった。このことは発がんが起こるためにはE1AとE1Bの両癌遺伝子が必要であることを示している。組織学的観察によと、E1A単独マウスの胃に過形成と思われる病変が存在していた。現在、この過形成組織中のE1A遺伝子の発現を検索中である。さらに、これらの単独マウスどうしを掛け合わせてE1AとE1Bの両方を保持するマウス(ダブルトランスジェニックマウス)を作製した。同様にデキサメサゾンで刺激しているが、6カ月の観察期間中に癌は発生していない。このダブルトランスジェニックマウスに発がんが起これば、より完全な形で生体内での多段階発がん(発がんのためには経路の異なる二つ以上の癌遺伝子が必要である)が証明できると思われる。 アデノE1マウスと組織適合性遺伝子クラスIトランスジェニックマウスの掛け合わせは、アデノE1マウスが子供を作らなかったため実現しなかった。infertileであった原因は、おそらく精巣中でE1遺伝子が高度に発現していたため、腫瘍こそ作らなかったものの精子の発達に異常をきたしたためと思われる。 E1マウスの一系統で、olfactory bulbにneuroblastomaを作ったマウスがあったが、この特徴ある腫瘍中にタイプCのレトロウイルスが多数認められた。ウイルスの解析から、内在性のレトロウイルスが活性化されたものと考えられたが、病因と関連している可能性もある。
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